多文化主義のローカル化とナショナリズム


Localized Multiculturalism and Nationalism
 
日本側代表者:
岡田 浩樹(神戸大学国際文化学研究科教授)

相手国側代表者:
Yung-Ho IM (Director, Institute for Social Science Research, Pusan National University)
NGUYEN Thu Huong (Vice dean, Faculty of Japan Study, Vietnam National University)
 
 

平成28年度の研究交流活動計画  


グローバル化に伴う移民・移住労働の現象は、いわゆる多文化主義に基づく社会政策を生み出してきた。多文化主義については、従来、アメリカ合衆国やカナダ、オーストラリアなどの移民社会、あるいはヨーロッパにおいて展開されてきたが、近年、少子高齢化などの要因により他地域からの移住者が増加の方向に進みつつある日本、東アジア、さらにはASEAN域内で、いかに欧米で展開されてきた多文化主義を受け入れるかという問題とナショナリズムの復元力とが葛藤を生み出している。その例として、日本の多文化共生政策、韓国の「移民政策」、各地で試みられている複数言語教育などがあげられる。本共同研究では、それを「ローカル化した多文化主義」ととらえ、まずは各社会の送り出し・受け入れ状況、多文化主義のローカル化の理論と実際との乖離についての基本情報を共有し、問題点を明らかにしていく。  
 
神戸のキックオフ・シンポジウムでは、日欧亜の主要な研究機関の研究者が、まずは互いの問題設定と方法論を持ち寄り、研究者相互で研究上のターゲットをより多く共有することを試みる。また、釜山シンポジウムでは、半年間の調査と研究の成果を相互に提示することを通じて、共通の課題を設定するための基本的情報を共有し、課題の枠組みをいっそう明晰にすることを目標としている。この枠組みに基づいて、各地域に関する具体的トピックについてのサブグループを構成し、互いの議論を重ねることで、移住者(マイノリティ)と受入社会(マジョリティ)という二者関係的な旧来の枠組みを超え、グローバル化における動態を把握する視点の獲得を目指す。
 

平成28年度に期待される成果


現段階で設定している3つのサブトピック、(1)アジア型多文化主義とナショナリズムの位相(理論的フレーム)、(2)移民・移住者の言語習得と社会・文化的包摂、(3)先住民の国際移動とグローバル化についての考察を深化させるとともに、この共同研究にとりくむ際の国内的な研究者ネットワークのいっそうの組織化を進展させる。このことにより、個別社会に応じた具体的課題への対処とともに、より包括的な研究成果の追究を行うための基盤を構築する。

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