アクティブ・インクルージョンの可能性とその課題

若年者の「能動的参加」や親密圏の視点からの新しい社会的包摂

 

代表者

  • 大村 和正(協力研究員)

 

分担者

 

概要

本研究プロジェクトは、アクティブ・インクルージョン(積極的包摂)の観点から、主に若年者を対象とする社会的包摂政策の「包摂」や「参加」の新しいあり方やその課題を明らかにすることを目的とする。 
 
従来の社会的包摂政策は労働市場への参入を促進する側面に重点が置かれてきた。しかしながら労働市場への参加が困難な若年者の「包摂」を考える場合、狭義の就労支援だけでなく、個人の自尊心を育み、能動的に社会に参加するような政策の研究が重要である。近年日本や英国などで、民間団体と行政との協働による、若年者の文化活動への参加を通じて社会的な包摂を目指す試みが実践されている。これら文化活動により若年者の潜在的能力を引き出す活動を取り上げることで、アクティブ・インクルージョン概念のなかでも十分に検討されてこなかった、公共サービスへの当事者の能動的な「参加」を通じた包摂のあり方を明らかにしたい。
 
若年者の包摂や排除の問題を考える場合、個人の能力の問題だけでなく、家族のあり方など親密圏の問題も視野に入れる必要がある。若年者の場合、家族との関係が断ち切られた場合、十分な教育を受けることができなかったり、困難な状態に陥った場合に孤立化してしまう問題がある。従来の研究で十分検討さ れてこなかった親密圏の変容も視野に入れることで、若年者の社会的包摂の新しい可能性やその課題も考察したい。