研究員プロジェクト「『異文化誤解』のメディア表象学」定例研究会

揺らぐレイシズム:南アフリカ・オーストラリア両国の『白人性』の批判的検討

 
 

日時

2014年11月26日(水)15:30-17:30
 

場所

神戸大学国際文化学研究科 E棟4階 学術交流ルーム(E410)
 

趣旨

白人の視線によって「ニグロになったのだ」、フランツ・ファノンは彼の身体が人種化される過程をそのように語った。しかし、その視線によってファノンを「ニグロ」に仕立て上げた「白人」は、どのようにファノンの「黒さ」をまなざす特権的な視座を獲得していたのだろうか?「白人」というカテゴリーは、たしかに「白人的」とされる身体的特徴と結びついているものの、「白さ」は必ずしも身体性のみに還元されるものではないはずだ。であるとすれば、その歴史的・言説的な構築過程にこそ着目する必要がある。本研究会では以上のような問題意識から、「白人性」という特権的な人種的カテゴリーの構築過程について検討する。
山本めゆの発表は、20世紀の南アフリカにおいて「ヨーロッパ人」と「アフリカ人」の中間に位置づけられた「日本人」や「華人」に注目し、彼らが「白さ」を獲得していく過程を検討する。そして、彼らの実践が、白人優位主義的な体制を動揺させつつも、結果的にはそれを強化していくものとなった歴史的経緯を明らかにする。
前川真裕子の発表は、オーストラリアで流布する人種差別的冗談を議論の対象とし、そのような冗談が形成する言説空間が、「レイシストである/レイシストではない」との境界を融解させつつも、発話者による「白人」という支配的な立場の獲得を可能にするという複雑で巧妙なメカニズムを明らかにする。以上、2人の若手研究者による発表を通じて、揺らぎを見せながらも、堅固に維持される「白人性」というカテゴリーの両義的な性格を露出させるとともに、そのカテゴリーをめぐって構造化される南アフリカ・オーストラリア両国の人種政治に関する批判的知見を探求したい。

 

発表

発表者1.山本めゆ(京都大学大学院文学研究科博士課程) 
発表者2.前川真裕子(国立民族学博物館外来研究員)
 

司会

山口隆子(神戸大学国際文化学研究推進センター研究員)
 
 

お問い合わせ先:前川真裕子(mayuko_maekawa[at]alumni.unimelb.edu.au) 
※[at]をアットマークに変えてください。
研究プロジェクトの趣旨は、下記のページをご覧ください。
「異文化誤解」のメディア表象学
(メンバー:栢木清吾、山口隆子、南郷晃子、前川真裕子、横山純 )