国境を越える

国際シンポジウム

第16回国際シンポジウム(神戸大学・浙江大学共催)
「東アジアの地平から見た辛亥革命の思想的価値―近代化と留学交流の意義」

国際文化学部・国際文化学研究科は、学部発足以来ほぼ毎年、国内外の第一線の研究者や文化人を招いて、国際社会が直面する問題について討議する国際シンポジウムをこれまで15回にわたって開催してきました。2011年は中国の「辛亥革命」100周年の年にあたります。7月に行われた第16回国際シンポジウムは、「国際交流」と「留学」の視点に焦点を当て、東アジアという地理的空間、中国人による「日本留学運動」がもたらしたアジア近代思想との連関という思想的空間において、「辛亥革命」の持つ意味を検討しました。

国際シンポジウム実行委員会委員長  王柯教授

2011年は中国の「辛亥革命」100周年の年にあたる。近代からの中国の歩みを理解する上で二つのことを常に意識すべきであろう。ひとつは中国の最後の王朝は非漢民族である満洲族による王朝であることであり、もうひとつは、中国近代史上の多くの革命家と思想家が日本において近代思想の影響を受けたことである。しかし、この二点は相互に孤立するものではない。つまり、「民族的」差別に対する反抗は、最終的に「駆除韃虜、回復中華」という「民族的」革命に繋がった。しかし、その「民族」「民族国家」の思想はほかでもない日本から学んだものであり、その最大の媒介は中国人の「日本留学」であった。その意味で、中国近代史上に起った「日本留学」という事象は、決して留学のレペルに留まらず、中国近代以降の社会変化に大きなインパ外を与えたレベルで理解されるべきものであった。

以上の考えに基づいて、神戸大学国際交流事業の一環として神戸大学大学院国際文化学研究科は引き受け、神戸大学と浙江大学が共同主催する国際シンポジウム「東アジアの地平から見た辛亥革命の思想的価値―近代化と留学交流の意義」を企画・開催した。シンポジウムのために、浙江大学副学長羅衛東教授、人文学院長黄華新教授、副院長盛暁明教授と呂一民教授に中国から駆けつけていただいた。7月2日、シンポジウムは実行委員会委員長国際文化学研究科長阪野智一による総合司会、福田秀樹神戸大学長と中村千春理事副学長による開会と閉会の挨拶、国際交流基金小倉和夫理事長(当時)と浙江大学羅衛東副学長による講演など日中両国の有識者の参加の下で、定員100名の会場に120名以上の大学及びマスコミ関係者、神戸華僑を含む市民たちが出席する盛況で、辛亥革命と日本との関係、ひいては日中関係に対する人々の大きな関心が再確認される場ともなった。

辛亥革命に関するこれまでの研究は、「革命」自身にこだわる傾向にあった。それによって、辛亥革命の持つアジア史、世界史にもつ意味がかなり明らかになったとはいえ、研究の思想的な限界が感じられる。これに対し、今回のシンポジウムは、「国際交流」と「留学」の視点に焦点を当て、東アジアという地理的空問、中国人による「日本留学運動」がもたらしたアジア近代思想との連関という思想的空間において、「辛亥革命」の持つ意味を検討することにある。この研究は、われわれのアジアの近代化のプロセスに対する理解を深めることだけではなく、学術研究に対しても貢献することができる。

日時 2011年7月2日(土)午後13:00~17:10
場所 神戸大学瀧川記念館
講演1 小倉和夫(国際交流基金理事長、元駐韓国大使・駐フランス大使)
「日本人の見た中国、中国人の見た日本」
講演2

羅衛東(浙江大学教授・副学長)
「浙江大学と辛亥革命一留学と教育近代化の視点から」

報告 司会 石原享一(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
1安井 三吉(孫文記念館館長・神戸大学名誉教授)
「辛亥革命と日本華僑・留学生」
2呂 一民(浙江大学教授・人文学院副院長)
「社会変動期における浙江社会階層の再編―辛亥革命時期の官僚、士紳と日本留学運動」
3中西 泰洋(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
「東アジア地域から見た日本留学―神戸大学を事例として」
討論 司会 王 柯(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
講演者・報告者+黄華新(浙江大学教授・人文
学院院長)
(文責:王桐)
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