15の多様な専門コース

文化相関・異文化コミュニケーション系 比較文明・比較文化論コース

最終更新日 2017年8月23日

コースの紹介

 本コースでは文明・文化が地理や言語などの様々な境界を越える諸相について、主に科学技術文明と言語文化を考察の対象として、その発信・受信行為がもたらす変容のダイナミズムを歴史的に比較研究します。とりわけ、グローバリゼーションが進展する中で明らかになっている、文明・文化における優位と劣位という非対称性を念頭に、一方的な受容とされる現象の背後に抵抗、偏見、創造などの側面があることに注目し、その交流や変容における双方向性について、最新の研究を題材に理解を深めることを目指しています。

 
進路実績長崎市職員(学芸員)、三菱東京UFJ銀行、パナソニック電工、ニシキ商会、他。
在籍学生数

(前期課程) 2名
(後期課程) 0名

論文テーマ例

魯迅「故郷」と日本の国語教科書、日本における『聊斎志異』の翻訳と翻案―「竹青」を中心に、村上文学の越境―短編小説の日中対訳をめぐって、ラフカディオ・ハーン
『骨董』と『北斎漫画』―挿絵という、もうひとつの文化表象を読む、生野銀山お雇い外国人ジャン・フランソワ・コワニェと日仏交流、西川如見の文献に見る宇宙観・自然観、そのほか、明治期来日外国人、古典テクストとイメージ、神話からみる庭園・自然観、環境問題、科学史、科学社会論に関するものなど。

所属教員の紹介

北村 結花 准教授 伝統文化翻訳論特殊講義ほか
近代における日本古典文学の受容について『源氏物語」を中心に研究しています。古文をはじめ、さまざまな文献を丁寧に読むことを基本にしたいと思っています。

塚原 東吾 教授 科学技術社会論特殊講義ほか
科学史および科学技術社会論を研究しています。

朴 沙羅 講師 越境文化論演習ほか
 国民であることと国家に所属することの関係を中心に研究しています。

遠田 勝 教授 日米文化交流論特殊講義ほか
 明治時代の日米文化交流を中心とした、比較文学・比較文化の研究を専門にしています。ラフカディオ・ハーン、お雇い外国人、夏目漱石、飯伏鱒二などについて論文を書いています。

山澤 孝至 准教授 古代越境文化論特殊講義ほか
古代ギリシア・ローマ文化論。ただし、考古学ではないので、遺跡を発掘してそれが大々的に報道されるといったことはありません。地味な文献学ですが、古代人の書き残したものから、まだまだ多くのことが読み取れると思っています。

 

所属学生からのメッセージ

小村 志保美 さん
(博士前期課程 2年 ・ キャリアアップコース)
研究テーマは「英語圏における英訳俳句の受容」

★メッセージ
  私は俳句の英訳について研究を深めたいと考え、本コースへの入学を決めました。日本語で詠まれた俳句が英訳され、それらがどの様に解釈・受容されているのかについて研究しています。17 音に凝縮された日本独特の文化や季 節感を忠実に再現して英訳するのか、そもそも再現されるべきなのかなど興味はつきませんが、本コースの様々な講義を通して、翻訳そのものだけを見るのではなく、その時代背景やそれぞれの文化の伝播過程を知ることの重要さに気づきました。また、オリジナルな資料を読み解くことや一つの疑問を深く掘り下げて考察することなど、研究に必要な力をつけることも指導していただきました。
  このように、本コースの魅力は分野の境界を越えて学べるようカリキュラムが組まれていることです。翻訳の研究において文学的側面からだけでなく、 科学文明や古代歴史などの側面からもアプローチすることができます。一見関わりがないように思われるこれらの分野が、「翻訳」というテーマを通して点が線となってつながることにより、私の研究に多角的な視点と深みを与えてくれています。
  そして、昨年度より日本語教員養成サブコースが設置されたことにより、自分のテーマを研究しながら日本語教師への道が開けたことも魅力の一つになっています。

 

張 悦さん
(博士前期課程 2年 ・ キャリアアップコース)
研究テーマは「武者小路実篤の新しき村が近・現代中国のユートピア思想に与えた影響」

★メッセージ 
  私は、異国情緒が溢れる神戸の町に来てからもうすぐ三年目になります。神戸大学大学院国際文化学研究科を志望したのは、静かな自然に囲まれ、便利な図書館システムを有することだけでなく、留学生も多国から集まっており、異文化への理解を深めようと考えている人には、最適の環境だと思ったからです。特に、本コースでは、日米文化交流や古典文学翻訳からギリ シャ文明まで、幅広い視点で文明 ・ 文化の変容現象を研究できる点が、大変魅力だと思います。私の研究テーマは明治末期に来日し、近現代日本文化・文学と深く関わっている中国人作家周作人と「新しき村」という理想的共同体の実現を目指した白樺派代表者である武者小路実篤との個人交際から、日中ユートピア活動の関係と比較です。
  おかげさまで、私は今年度の4月からロータリー米山記念奨学会の奨学生になりました。今はよりよい研究環境の中で、研究成果を上げるために日々努力を重ねて、励んで行きたいと思っております。もし、あなたも、異文化理解を深めたい、文明・文化の越境やその中の具体的な人物と作品についての比較研究をしたいとしたら、私たちと一緒に異文化交流のタイムトラベルしませんか。

 

 

修了学生からのメッセージ

北村 沙緒里さん (2012年度博士前期課程修了)
広島市立大学国際学部卒業。神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了。
研究テーマは「小泉八雲を中心とした明治期の来日外国人の比較文学研究」。
現在、長崎市職員(学芸員)。

★メッセージ
 私が大学院への進学を志望したきっかけは、学部時代の研究テーマをもっとしっかりと勉強したいという単純な理由からでした。私は本コースで、明治期の来日外国人の著作に見られる「日本」像についての比較研究がテーマでした。修了研究レポートでは、小泉八雲の文学作品を扱い、テクストと挿絵の表象について論じました。私の場合、入試当初の研究計画の内容は博士前期課程の二年間で大きく変わりました。しかし、それも限られた研究期間の中で、恵まれた指導体制と充実した資料環境(図書館など)によって得られた結果だと思います。本コースの特徴は、大きく科学技術文明と言語文化の二つの研究分野に分かれます。異なる分野の境界を越えて、学生生活の中で仲間と研究について語り合えるのは自身の研究への刺激になります。また、コースにとらわれない横断可能な履修システムによって、芸術、思想、文学など、あらゆる視点から自身の研究を深めていくことが可能です。入学時の研究計画を進めていくことも本分ですが、授業を通して得られる研究の新たな視点、見直し、深化は、自分次第でいくらでも研究に反映できると思います。充実した研究生活を支える環境が整っています。

 

白井 智子さん(2014年度博士後期課程修了)
クレルモン=フェラン第2大学人文社会学研究科修士課程修了。
研究テーマは「生野銀山お雇い外国人ジャン・フランソワ・コワニェと日仏交流」。
現在、神戸大学大学院国際文化学研究科学術研究員、兵庫県立大学客員教授。

★メッセージ
 私は、本大学院入学以前、フランス語教育と日本語教育に携わる傍ら、兵庫とフランスとの交流史を色々な時代・人物に焦点を当てて調査・研究をしていました。しかし、これらの研究は題材が多様で一貫性を欠いていていたため、ご専門の先生方からご指導いただきながら、これまでの調査結果を練り直し、さらに研究を深めて博士論文として一つに纏め上げたいと考え、大学院入学を決めました。
 本コースを選んだ理由は、私が探し求めていた文化交流や比較文化、科学技術史が専門の先生がいらっしゃったことに加え、様々な国や時代における文明や文化、歴史に精通された先生方が結集して、多方面から研究指導に当たっておられたからでした。また、国際文化学研究科は、所属コースに関係なく、他コースの授業も履修可能なため、より一層学際的研究ができ、その上、本大学は複数のフランスの大学と協定を結んでおり、院生でも留学できる機会を得られることも私にとって大きな魅力でした。
 在籍中、指導教授を始め、日仏両国で諸先生方からきめ細かなご指導を頂戴し、様々な観点から多角的に研究を進め、大きな成果を挙げることができました。恵まれた環境の中で充実した研究生活を送ることができ、私にとって掛替えのない素晴らしい3年間でした。

 

 

qa

理系じゃなくても大丈夫?
複雑多様な社会を理解する上で、科学的な物事の見方を身につけることはとても有意義だと思うのですが、大学時代は文系でした。本コースでの研究には理系の学問的基礎が必要なのでしょうか ?

私たちのコースでは、科学史や科学技術社会論も勉強できますが、これは科学の文化的・社会的意義や科学の歴史、東西の科学思想の交流等を研究する科目で、必ずしも、高度な自然科学についての知識や、理系の専門性を要求するものではありません。文系の方でもまったく大丈夫です。

西洋古典と日本の古典を同時に研究?
これからの国際社会では世界各地域の文明や文化の比較や相互影響についての知識は不可欠だと思うのですが、これほど幅広い国内外の古典や複数の文化などを並行して研究できるか不安です。

私たちのコースでは古典のみならず近・現代の文化や文学の研究もおこなえます。重要なのは、むしろ複数の文化や文明を比較するという研究姿勢で、研究テーマが定まれば、それを掘り下げたり、広げたりするための豊富なリソースが用意されています。すべての分野と科目への関心・学習が均等に要求されるわけでなく、みなさんが研究テーマを選択したとき、そうした幅広い視野から多様なアドバイスと柔軟なサポートを受けられるのだと考えてください。

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