15の多様な専門コース

文化相関・異文化コミュニケーション系 比較文明・比較文化論コース

最終更新日 2014年7月3日

コースの紹介

 本コースでは文明・文化が地理や言語などの様々な境界を越える諸相について、主に科学技術文明と言語文化を考察の対象として、その発信・受信行為がもたらす変容のダイナミズムを歴史的に比較研究します。とりわけ、グローバリゼーションが進展する中で明らかになっている、文明・文化における優位と劣位という非対称性を念頭に、一方的な受容とされる現象の背後に抵抗、偏見、創造などの側面があることに注目し、その交流や変容における双方向性について、最新の研究を題材に理解を深めることを目指しています。

進路実績 長崎市職員(学芸員)、三菱東京UFJ銀行、パナソニック電工、ニシキ商会、他。
在籍学生数

(前期課程) 1年2名 2年1名

(後期課程) 1年0名 2年0名 3年0名

論文テーマ例 明治期来日外国人、古典テクストとイメージ、神話からみる庭園、自然観、環境問題、有害化学物質、ホワイトヘッドのオーガニズムモデル、徐光啓の数学観、中世イスラーム世界における医神アスクレピオスの伝承、西川如見の文献に見る宇宙観・自然観、村上文学の越境―短編小説の日中対訳をめぐって
所属教員の紹介

北村 結花 准教授 伝統文化翻訳論特殊講義ほか
近代における日本古典文学の受容について『源氏物語」を中心に研究しています。古文をはじめ、さまざまな文献を丁寧に読むことを基本にしたいと思っています。

塚原 東吾 教授 科学技術社会論特殊講義ほか
科学史および科学技術社会論を研究しています。

遠田 勝 教授 日米文化交流論特殊講義ほか
明治時代の日米文化交流を中心とした、比較文学・比較文化の研究を専門にしています。ラフカディオ・ハーン、夏目漱石、井伏鱒二などについて論文を書いています。

三浦 伸夫 教授 科学技術文明論特殊講義ほか
専門は科学史ですが、学生にはイスラーム、ユダヤ、両洋中世・ルネサンスなどにかかわる興味深いテーマを選んで研究するようにすすめています。

山澤 孝至 准教授 古代越境文化論特殊講義ほか
古代ギリシア・ローマ文化論。ただし、考古学ではないので、遺跡を発掘してそれが大々的に報道されるといったことはありません。地味な文献学ですが、古代人の書き残したものから、まだまだ多くのことが読み取れると思っています。

 

所属学生からのメッセージ

小村 志保美 さん(博士前期課程 1年 キャリアアップコース)

研究テーマは「英語圏における英訳俳句の受容」

★メッセージ
 私は俳句の英訳について研究を深めたいと考え、本コースへの入学を決めました。日本語で詠まれた俳句が翻訳者によって異なった英訳になっている点に着目し、それぞれがどの様に解釈されているのかについて研究しています。松尾芭蕉の俳句で有名な「古池」の英訳の一例として、old pondや quiet pondなどがあります。ある翻訳者は、古くからある池なので old pond とし、またある翻訳者は山奥の静かな池と解釈したので quiet pondとしています。このように、使用する単語により読み手に与える印象が大きく変わることがわかります。 5, 7, 5、計17シラブルに凝縮された日本独特の文化や季節感を忠実に再現して英訳しているのか、そもそも再現されるべきなのか、など興味はつきません。
 本コースでは分野の境界を越えて学べるようカリキュラムが組まれています。私の場合、翻訳の研究において文学的側面からだけでなく、科学文明や古代歴史などの側面からもアプローチすることができます。一見関わりがないように思われるこれらの分野が、「翻訳」というテーマを通してつながることにより、自らの研究に多角的な視点を与えてくれます。
 さらに、本研究科では文化相関専攻とグローバル文化専攻分野を横断して科目履修できる点も魅力です。特に本年度より日本語教員養成サブコースが設置され、日本語教師を目指す学生にとって更なる可能性が開けました。特に本コースの学生は専門分野の垣根を越えて幅広く学ぶことができるので、そこで得た豊富な知識は日本語教育現場でも大いに役に立つことでしょう。

張 悦さん(博士前期課程 1年 キャリアアップコース)

研究テーマは「武者小路実篤の新しき村が近・現代中国のユートピア思想に与えた影響」

★メッセージ

外国人留学生として、異国情緒が溢れる神戸の町に来てからもうすぐ二年目になります。神戸大学大学院国際文化学研究科を志望したのは、静かな自然に囲まれ、便利な図書館システムを有することだけでなく、留学生も多国から集まっており、異文化への理解を深めようと考えている人には、最適の環境だと思ったからです。 特に、比較文明・比較文化論コースでは、日米文化交流や古典文学翻訳から、ギリシャ文明や科学技術史まで、幅広い視点で文明・文化の変容現象を研究できる点が、大変魅力だと思いました。

半年の研究生を経て、現在大学院に入学した私の研究テーマは、主に明治末期に来日し、日本文化と深く関わっている中国人作家周作人と新しき村という理想的共同体の実現を目指した武者小路実篤との個人交際から見る、日中ユートピア実践活動の影響関係と比較についての研究です。もし、あなたも文明・文化の越境やその中の具体的な人物や作品について興味を持っているなら、私たちと一緒に、タイムトラベルしませんか。

 

修了学生からのメッセージ

北村 沙緒里さん (2012年度博士前期課程修了)

広島市立大学国際学部卒業。神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了。
研究テーマは「小泉八雲を中心とした明治期の来日外国人の比較文学研究」。
現在、長崎市職員(学芸員)。

★メッセージ
 私が大学院への進学を志望したきっかけは、学部時代の研究テーマをもっとしっかりと勉強したいという単純な理由からでした。私は本コースで、明治期の来日外国人の著作に見られる「日本」像についての比較研究がテーマでした。修了研究レポートでは、小泉八雲の文学作品を扱い、テクストと挿絵の表象について論じました。私の場合、入試当初の研究計画の内容は博士前期課程の二年間で大きく変わりました。しかし、それも限られた研究期間の中で、恵まれた指導体制と充実した資料環境(図書館など)によって得られた結果だと思います。本コースの特徴は、大きく科学技術文明と言語文化の二つの研究分野に分かれます。異なる分野の境界を越えて、学生生活の中で仲間と研究について語り合えるのは自身の研究への刺激になります。また、コースにとらわれない横断可能な履修システムによって、芸術、思想、文学など、あらゆる視点から自身の研究を深めていくことが可能です。入学時の研究計画を進めていくことも本分ですが、授業を通して得られる研究の新たな視点、見直し、深化は、自分次第でいくらでも研究に反映できると思います。充実した研究生活を支える環境が整っています。

白井 智子さん(2014年度博士後期課程修了)

クレルモン=フェラン第2大学人文社会学研究科修士課程修了。現在、神戸大学大学院国際文化学研究科学術研究員。
研究テーマは「生野銀山お雇い外国人ジャン・フランソワ・コワニェと日仏交流」。

★メッセージ
 私は、本大学院入学以前、フランス語教育と日本語教育に携わる傍ら、兵庫とフランスとの交流史を色々な時代・人物に焦点を当てて調査・研究をしていました。しかし、これらの研究は題材が多様で一貫性を欠いていていたため、ご専門の先生方からご指導いただきながら、これまでの調査結果を練り直し、さらに研究を深めて博士論文として一つに纏め上げたいと考え、大学院入学を決めました。
 本コースを選んだ理由は、私が探し求めていた文化交流や比較文化、科学技術史が専門の先生がいらっしゃったことに加え、様々な国や時代における文明や文化、歴史に精通された先生方が結集して、多方面から研究指導に当たっておられたからでした。また、国際文化学研究科は、所属コースに関係なく、他コースの授業も履修可能なため、より一層学際的研究ができ、その上、本大学は複数のフランスの大学と協定を結んでおり、院生でも留学できる機会を得られることも私にとって大きな魅力でした。
 在籍中、指導教授を始め、日仏両国で諸先生方からきめ細かなご指導を頂戴し、様々な観点から多角的に研究を進め、大きな成果を挙げることができました。恵まれた環境の中で充実した研究生活を送ることができ、私にとって掛替えのない素晴らしい3年間でした。

 

qa

複雑多様な社会を理解する上で、科学的な物事の見方を身につけることはとても有意義だと思うのですが、大学時代は文系の科目重視でした。本コースでの研究は可能でしょうか?

私たちのコースでは科学の文化的・社会的意義や科学の歴史、東西の科学思想の交流等も研究できますので、必ずしも高度な自然科学についての知識は要求していませんので大丈夫です。

これからの国際社会では世界各地域の文明や文化の比較や相互影響についての知識は不可欠だと思うのですが、国内外の古典や複数の文化を研究していけるか不安です。

私たちのコースでは古典のみならず近現代文化の研究の方法論を提示できますし、研究テーマが定まればそれを掘り下げかつ拡げる資料が潤沢にあり、それらを繙く時間も確保できますので、心配は無用です。

日本の文化は独自なもので、本質的には他文化からの影響はそれほど受けていないと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。

まず日本語の文字表記法は中国から移入した漢字を使いますし、平がな・カタカナにしても漢字の行書体を簡略化した音標文字です。日本近代文学の小説や詩も明治以降ヨーロッパの文学ジャンルをそのまま移植したものです。また、憲法や立法、司法、行政といった政治機構についても同様です。ですから日本の文化の独自性についての本質的な理解にも他文化との比較認識は不可欠でしょう。

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