最終更新日: 2026年06月23日
グローバル文化専攻・言語情報コミュニケーション系
感性コミュニケーションコース
人とひとの間のコミュニケーションにおいて要求されることの一つは、気持ちが通じあうことでしょう。しかし実際のコミュニケーション場面においては、たとえば「言葉は通じているのに気持ちが通じていない」と思える場合があります。この場合、「気持ちは通じていないか」「言葉(音声)は本当に通じているか」といったベーシックな問題について検討する必要があります。感性コミュニケーションコースは、コミュニケーションの過程を音声生成など身体的なプロセス、心理学・脳科学など認知的なプロセスの水準から探求します。またネイティブの発音に近い発音を可能にする方策、対人関係を改善する技法といったプラクティカルな問題についても学生の皆さんと一緒に研究を行っています。
| 進路実績 | (前期課程) ユニクロ、アステラス製薬、イーオン、ATR Learning Technology、ANA(全日空)、(中国の国立)中国銀行、神戸市(上級行政職)、航空大学校、島津製作所(上海) (後期課程) 理化学研究所、神戸大学国際文化学研究科、韓山師範学院、神奈 川県科学捜査研究所、国立障害者リハビリテーションセンター研究所、日本学術振興会特別研究員(PD)、武漢大学、パナソニック、京都精華大学、情報通信研究機構(NICT)、東北大学、大阪大学 |
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| 在籍学生数 | (前期課程) 5名 (後期課程) 3名 |
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| 論文テーマ例 | (前期課程) 注意、ワーキングメモリ、情動、視覚認知、表情、音声コミュニケーション、外国語発音における母語干渉、Eラーニング、社会性、マルチモーダル分析 (後期課程) 数表象、プライミング、視覚的注意、外国語音声習得のメカニズム、音声の産出と知覚、ポライトネス |
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| 所属教員の紹介 | 林 良子 教授 言語行動科学論特殊講義ほか 音声科学・心理言語学。日本語や諸外国語における音声の特徴や、外国語を学ぶときの発音の困難点などについて実験的手法を用いて研究しています。言語障害や言語発達、各国における音声コミュニケーションの教育方法の比較についても興味があります。 松本 絵理子 教授 コミュニケーション認知論特殊講義ほか 認知心理学、認知神経科学。人間の知覚、行動、記憶、注意といった認知活動について、心理実験や脳活動計測などの手法を用いて研究しています。特に、注意について、不安やストレスなどの個人特性が及ぼす影響や、どうして表情や恐怖の対象には注意が素早く向けられるのか、等について関心があります。コミュニケーションの背景にある人間の行動や認識の傾向を認知心理学的というのぞき窓を通じて探ってみませんか。 北田 亮 教授 非言語コミュニケーション論特殊講義ほか 心理物理学・生理学など複数の方法を活用して、知覚から社会認知に至るまで様々な認知神経科学的な研究を行っています。特に複数の感覚機能に着目して、どのように先天的な要因と後天的な要因が絡み合うことで私たちの知覚や認知能力が形成されるのかに興味があります。これらの研究を通じて未来の研究の土台となる枠組みを提案することを目指し、様々な分野の研究者との連携により成果の社会実装への道を探ります。 巽 智子 准教授 第一言語習得、心理言語学。私たちはどのように言語を習得するのか、を中心のテーマとして研究をしています。また、言語変化、発達語用論、コミュニケーションと言語の関係など色々なテーマに関心があります。実験やコーパスデータの分析を通じて言語を探る、活発な研究の場を創りたいと考えています。 牧田 快 講師 コミュニケーション文法論特殊講義ほか 認知心理学、神経科学、発達・発達障害、言語学。主に脳構造・脳機能画像法を用いて、発達の違いによる脳構造の変容の度合いや、単語学習のような特定の課題遂行中の脳活動の測定などを通して、ヒトの発達、知覚、学習といった認知機能・行動について研究しています。なお研究では、いわゆる文系、理系という垣根を越えて、分野横断・融合的な観点から深化したいと考えています。 南本 徹 講師 コミュニケーション構造論特殊講義ほか 言語学、歴史言語学、印欧語研究、古代ギリシア語研究。主に古代ギリシア語の方言を研究しています。古代ギリシア人はそれぞれ地元の方言を使っていたので、各地の碑文を比べるとそれぞれの方言の特徴や歴史的背景を探ることができます。その他、「人間の言語はどれくらい多様であり得るのか」にも興味があり、少しずつ日本手話を勉強しています。 |
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榊原 和さん(博士後期課程 2年)
神戸大学国際人間科学部卒業、国際文化学研究科博士前期課程修了
研究テーマ:「環境音が情動と内受容感覚に与える影響の心理物理学的解明」
芸術が専門であった学部時代の私は、メロディーやリズムを介して感情操作を図る“音楽”とは全く性質が異なりながら、時に心地よさや嫌悪感のような強い情動を偶発的に惹起する“環境音”の魅力に取りつかれ、日本の音文化におけるASMR 動画 ( 心地よい環境音を収録した映像 ) の位置づけと環境音の活用可能性について社会学的に調査を進めました。
この過程で、咀嚼音や鉛筆を走らせる音など、日常を過ごすうえで忌避されがちな音が特定の人にとっては快感をもたらすという個人差、ひいては聴覚刺激が快情動に加えゾクゾクする疑似触覚を生じさせる自律感覚絶頂反応 (ASMR)という現象自体に強い興味を持ち、その限定的・多感覚的な発生機序について認知心理学的手法で追及したいと考え、本コースへ進学しました。
ここでは、ヒトが外界の情報を解釈したり他者と意思伝達を行う際の情報処理過程について、音声や言語、認知等複数の側面から迫ることが可能です。普段の講義や演習授業ではもちろんのこと、個別ゼミや研究発表会にてきめ細やかで学際的なご助言を頂くことで、自身の専門性を高めるのみならず、批判的かつ多面的な視点の培い方であったり、適切な資料作成方法に至るまで、研究を適切に行う上で必要不可欠な技術を余すところなく吸収することができます。
文系に位置づけられる本研究科であっても、緻密な実験を組んだり考察を深めるために統計や生物、物理等の理系的な見識を養うことが欠かせなく、私自身も高い山の数々に圧倒されることがありますが、先生方の手厚いご指導や仲間の支えにより、研究を続けることの喜びを日々感じています。
複雑怪奇なヒトの感性や行動への興味が尽きないという貴方に、本コースをぜひおすすめします。
李 佳迅さん(博士前期課程 2 年)
雲南大学外国語学部卒業
研究テーマ:「中国東北方言を母方言とする日本語学習者の日本語母音の音響的特徴」
私が日本語の発音に興味を持ったのは、大学で日本語を専攻していた時のことです。中国人学習者として、自らの発音における微妙な母音の違いが「日本語らしさ」を損なうことに気づき、母語の影響を受けるメカニズムに疑問を持ちました。この問いが、神戸大学国際文化学研究科の感性コミュニケーションコースで音声学を学ぶきっかけとなりました。
ここでの研究は、音を単なる物理的な信号として捉えるのではなく、言語の本質と向き合う営みです。国際音声記号(IPA)はあらゆる言語の音を比較する「音の地図」として機能し、Praat などのソフトを用いて音声を可視化・分析することで、波形の中には言語の特徴だけでなく、学習者の背景や心理までもが反映されていることを実感します。キャンパスに整備された高度な音声分析機器は研究の可能性を大きく広げてくれました。また、日本音声学会での発表を通じて自らの研究を相対的に捉え、学問の広がりを実感する貴重な経験を得ることができました。常にご指導くださる先生方をはじめ、支えてくださる先輩方のおかげで研究に専念できる環境に心から感謝しています。
今後も、音声が伝える文化的・感情的情報の世界を探求し、異文化間の相互理解に貢献できる研究を目指してまいります。同じ関心をお持ちの皆さんとキャンパスでお会いできる日を楽しみにしています。
王 可心さん(2024年度博士後期課程修了)
中国人民大学外国語学部卒業、神戸大学大学院国際文化学研究科博士前期課程修了
研究テーマ:「自然会話における笑いの音声的特徴」
現在、本研究科グローバル・ネットワーク・プログラム(GNP:p.39 参照)特命助教
私は、音声コミュニケーションにおいて、人間がどのように感情や態度、意図を伝え、またそれを認識しているのかに興味を持ち、感性コミュニケーションコースに入学しました。研究生、修士、博士課程を通じて、約 5 年半の留学生活を送り、笑いや丁寧さといった、言語の周辺的要素を主な研究対象としてきました。例えば、人間の多様な笑い方とロボットの「ははは」のような笑い方と、どのような発話感情の違いがあるのか、また「ボールペン貸してください」という一言の依頼表現が、どのように話されると丁寧に聞こえるのかなど、話し方や伝え方によって生まれる意味の微妙な違いに、音声コミュニケーションの面白さを感じています。
感性コミュニケーションコースには、言語学だけでなく心理学の先生方もいらっしゃり、多角的な視点から指導を受けられる点が大きな魅力です。私自身も心理学の授業を通して、感情や表情に関する理解を深めることができ、その学びを研究に活かすことができました。言語学や心理学にご興味のある方は、ぜひ感性コースを検討してみてください。
川島 朋也さん(2017年度博士後期課程修了)
神戸大学国際文化学部卒業、神戸大学大学院国際文化学研究科博士前期課程修了、 神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程修了。
研究テーマは 「注意制御機構の認知神経科学的研究」。
現在、 金沢工業大学准教授。
ヒトがどのようにものを見たり記憶したりしているのかに興味があり,この感性コースに進学しました。ヒトの注意や記憶などは目に見えないものですが,心理実験や脳機能計測によってそのこころの活動に迫ることができます。本コースにはそのための行動実験室や脳波計測室などの充実した設備があります。また,ヒトを対象とした研究では,専門的な知識だけでなく,その周辺領域を含めた幅広い知識が必要です。その中で本コースは,さまざまな領域の先生から指導を受ける環境にあり,一つの学問領域に閉じこもることなく広く諸領域から自身の研究を見直すことができます。
本コースにはさまざまな国や地域からの学生が集まります。多文化なバックグラウンドをもつ学生同士の交流は,自身の視野をいっそう広げてくれます。感性コースにご関心のある方は,研究室の訪問だけでなく,ぜひ院生室にもお越しください。

感性コミュニケーションというのは、スタッフを見ると、心理学や脳科学と、言語学、コミュニケーション論などを全部勉強していないと、ダメなのでしょうか。
そんなことはありません。とりあえず、どれか、で結構です。
言語について研究したいと思っているのですが、このコースと言語コミュニケーションコースはどう違うのですか?
感性コミュニケーションでの言語研究は、自然に発話されたデータや、様々な機器を使って実験的に計測を行ったデータを主に扱います。またパラ言語と言われるいわゆる伝統的な言語学ではあまり扱われてこなかった分野(例えばため息、沈黙、声の音色など)や視覚情報(目線、表 情、口の形、ジェスチャーなど)も含めて研究したいという方、実験して色々測ってみよう! という方には当コースをお勧めします。
脳の研究をやりたいのですが、どんなことが可能ですか?
感性コースでは、脳波計、光トポグラフィーを使って脳機能計測実験を行うことができます。もちろん、精密に計画して組んだ心理学実験によって、認知情報処理が脳内でどのように行われているかを検討することも可能です。チャレンジをお待ちしています!