15の多様な専門コース

文化相関・異文化コミュニケーション系 文化人類学コース

最終更新日 2014年7月3日

コースの紹介

 本コースでは、多様なテーマと地域を研究対象にする文化人類学の専門スタッフが、充実した教育研究カリキュラムを提供しています。今日の文化の諸問題は、グローバル化に伴うさまざまな文化と価値観の対立、分裂、統合と融和、生成と消滅といったダイナミズムを特徴としています。本コースでは、地に足のついた研究調査(フィールドワーク)から世界を見渡す広くしなやかな視点をもつことで、深い異文化理解をもとに多様な文化が対話可能となるような方法をともに考えていきます。文化をめぐる複雑な問題に積極的にとりくみ、国際的に活躍する専門家、研究者をめざす学生、文化人類学の高度な研究を志す留学生も歓迎します。

就職実績

(前期課程) (株)富士ソフト、多摩美術大学(助手)、広東貿易職業技術学校(講師)、中日新聞社、イオン、旭化成、東京三菱銀行、モバゲー、活水女子大学、韓国法務省、バンダイ、大阪府高校教員、青年海外協力隊(コスタリカ派遣)、アビームコンサルティング、東京国際貿易、三菱総研DCS、関西福祉科学大学、神戸松蔭女子学院大学(非常勤講師)

(後期課程) 奈良県立大学(専任講師)、大妻女子大学(専任講師)、滋賀大学(特任准教授)、島根大学(准教授)、武蔵大学(准教授)、東京医科大学(専任講師)、外務省(専門調査員)、立命館大学衣笠総合研究機構(専門研究員)、帝塚山大学(非常勤講師)、浙江大学(専任講師)

在籍学生数

(前期課程) 1年7名(内キャリアアップ型2名) 2年5名(内キャリアアップ型3名)

(後期課程) 1年0名 2年5名 3年1名

論文テーマ例

(前期課程)
カーゴカルト、カザク・アイデンティティ、観光、ポスト・ソヴィエト時代、ポスト・コロニアル、マルティカルチュラル・オリエンタリズム、中国の女性の地位、悪石島のボゼ、ローカル・ハワイアン、プリミティヴ・アート、在日ペルー人、映像人類学、クラ交易、バングラデシュのフェアトレード、国民文化と教育、在日コリアン、国際結婚、在日ベトナム人、奄美出身者同郷団体、文化遺産、伝統の創造、多文化共生、朝鮮族、映像、アイデンティティ・ポリティクス、ポピュラー音楽の表象、ジャマイカのペンテコステ教会、在米カリビアン、カーニバル、在米コリアン・アイデンティティ、ラスタファリ運動、ジャマイカのエチオピア正統教会、キリスト教と文化の文脈化、日系アルゼンチン人、ドミニカ共和国野球移民、スポーツ移民とトランスナショナリティ、在米華人、エスニック・コミュニティとメディア、マルティレイシャル、在日ブラジル人、移民の子弟教育、メキシコ女性と住民参加型開発、カナダ先住民、ディアスポラ・アイデンティティ、日系ハワイ人、帰米二世、ヒスパニック、カリフォルニア州バイリンガリズム

(後期課程)
文化の真正性、ヴァヌアツ・アネイチュム、歴史人類学、難民、カレンニー、ホームステイ、在日ベトナム人、ケアと家族、朝鮮族村落変容、朝鮮族移民の女性化、華僑・華人、ベトナム観光、オーストラリア・アボリジニ、「問題飲酒」、先住民と非先住民、カリブ海地域、ジェンダー、男性性、ダンスホール文化、ダンスホール・ゴスペル、ポピュラー音楽、カリプソ、ソカ、ナショナル・アイデンティティ、人種と民族ポリティクス、混血の表象、当事者性、「オモニ」―韓国社会における「母性」とケア

所属教員の紹介

梅屋 潔 准教授 民族学特殊講義ほか
社会人類学、東アフリカ民族誌、妖術・邪術研究、日本の民俗宗教、開発の人類学などの分野を主として研究しています。

岡田 浩樹 教授 民族誌論特殊講義ほか
朝鮮半島、日本を中心とした東アジア諸社会およびベトナム、植民地主義および近代化過程における家族、宗教の再編成、マイノリティと多文化主義、宇宙人類学などの分野を主として研究しています。

齋藤 剛 准教授 文化人類学特殊講義ほか
社会人類学、中東民族誌学、人類学的イスラーム研究、モロッコ、グローバル化と宗教・民族などの分野を主として研究しています。

柴田 佳子 教授 現代人類学特殊講義ほか
文化人類学、カリブ海地域研究、ディアスポラ、クレオール、人種・民族、グローカル化、教育などの分野を主として研究しています。

吉岡 政徳 教授 社会人類学特殊講義ほか
文化人類学、オセアニア研究、都市および都市文化、プリミティヴ・アートの人類学的研究などの分野を主として研究しています。

 

所属学生からのメッセージ

御宮司 健太さん(博士前期課程・研究者養成型プログラム)

奈良県立大学地域創造学部卒
研究テーマは「北インドにおけるイスラームの宗教行事・ムハッラム」

★メッセージ

御宮司 私が研究しているのはイスラーム暦1月に毎年開催されるムハッラムという宗教儀礼です。この儀礼の主な担い手はシーア派ムスリムですが、インドにおいてはスンニ派ムスリムやヒンドゥー教徒など様々な人々が関与し、その土地の共同的な祭りといった性格をもっていました。しかし植民地支配やイスラーム復興の影響を受けて、この儀礼は公の空間において宗派や宗教の差異が明るみになる場、あるいは差異を明らかにする場に変化しました。またこの儀礼は刃物での自傷行為をともなうために、近代という時代のなかで迷信的なものとして、あるいは宗教的に非合法なものとして批判を受けています。儀礼はまさに苦境に立たされていると言えます。それにも関わらず実際に生きる人々にとっては、自分という存在を確認する強力な装置として儀礼は現在もなお重要な意味を担っています。

 本コースに入学するまで私は文化人類学を一般教養の科目として受講しただけで専門的に学んではいませんでした。しかし本コースには、様々な分野と地域を専門にする先生方が在籍しており、フィールドワーク論や民族誌論といった方法論の講義もあるので、文化人類学を幅広く学ぶことができます。また専門的な論文指導に関しても指導教員以外の意見を受けることもでき自分の論文を見つめ直す良い機会になるでしょう。留学生が多いこともひとつの特徴で、院生室のなかで受けるカルチャー・ショックもあるかもしれませんが、様々なバックグラウンドの仲間から自分の研究を批判してもらうことは得難い経験になると思います。文化人類学を学び、研究する環境がここにはあります。

 

鈴木 亜望さん(博士後期課程)

神戸大学国際文化学部卒業。
研究テーマは「バングラデシュにおけるフェアトレードの文化人類学的研究」。

★メッセージ
 私のフィールドは南アジアに位置するバングラデシュです。ここでは国内外のNGO が数多く活動しています。そのNGO のもとで手工芸品を生産している女性たちが私の調査対象です。女性たちがスカーフにビーズの装飾を手作業でしています。女性たちは時には話をしながら作業を進めています。この工場で染色、縫製、装飾、プレス、プリントが施されたシルクのスカーフはあるNGO を通じて海外に送られ、フェアトレード商品として販売されます。フェアトレードの生産者たちの生活はどのようなものか、「名前は?」、「どこから来た?」、「兄弟姉妹は何人?」、「結婚しているのか?」このような質問から始まり、仕事を見せてもらいながら話をします。また、知り合いになるとベンガル人はよく家に招待してくれます。甘い紅茶とビスケットを出してくれ、食事の時間と重なれば山盛りのご飯とカレーを食べさせてくれ、しまいには泊まっていきなさいと言ってくれます。彼らにとっては本当に普通の生活を私自身も体験し、新たな発想を得ることの繰り返しです。そして、快く仕事場や家をのぞき見させてくれるフィールドの人たちに、何かしら還元できるような成果を残したいという研究意欲へとつながります。
 学内では読書会や研究会(神戸人類学研究会)を開催し、互いに刺激を与えあい、またサポートしあって研究に励んでいます。加えて本コースが刊行する査読つき学術誌『神戸文化人類学研究』への論文投稿や編集も行っています。これを通して、お互いの研究の進捗状況をオープンにしてコメントやアドバイスを積極的に交換し、共に研鑽を積むことができる環境づくりに努めています。

 

修了学生からのメッセージ

姜小友莉 さん(博士前期課程修了)

大阪女学院大学国際・英語学部卒業
研究テーマは「自己主張としての国籍―在日コリアンを事例として」
現在、NPO法人「「WING路をはこぶ」 職員

★メッセージ
kan 私は、在日コリアンを研究対象として「在日コリアンが国籍を現在どのように認識しているか」、「過去の在日コリアン社会における国籍の認識とそれはどのように変化したか」ということを研究していました。1年目は必修科目の授業を受講しながら、指導教員のゼミで自分の研究テーマの発表を継続的に行っていました。そこでは毎回指摘を頂き、その指摘をもとに「なぜ」、「どのように」などと自問することによって自分のテーマが少しずつ形になっていきました。授業は少人数制で行われるため、先生や学生とも距離が近く、深い議論をすることができます。文化人類学コースの特徴として、先生方がそれぞれ別のフィールドに特化しており、アジアを中心とする世界各国から多様な背景をもった学生が集まっていることがあげられます。これまで自分がもたなかった視点からアドバイスを受ける事ができ、自分の研究テーマに関連することだけに限らず、幅広い知識を得ることができます。2年目以降は修士論文の執筆にみっちりと時間を使いました。一つのテーマを多角的な視点からじっくりと考察した経験は、私の人生において大きな強みになったと感じています。

澤野 美智子 さん(2014年度博士後期課程修了)

神戸大学文学部人文学科卒、韓国ソウル大学校社会科学大学院人類学科修士課程修了。
博士論文タイトル:「〈オモニ〉を通して見る韓国の家族―乳がん患者の事例から」。
現在、神戸大学大学院国際文化学研究科国際文化学研究推進センター協力研究員、国立民族学博物館外来研究員、韓国ソウル大学校比較文化研究所研究員、神戸大学ほか非常勤講師。

★メッセージ
  私の研究テーマは、韓国の家族です。特に、乳がん患者さんたちが病気に対処するなかで家族とどのような相互行為を行っているのか、ということに注目して博士論文を書きました。現在はさらに、代替療法的な食餌療法、ケア、ジェンダーなどの問題へと広げて研究を進めています。

 博士課程では、研究者としての心構えから論理的な文章の書き方、博士論文のアドバイスにとどまらず、将来就職したとき学生を教えるためのスキルに至るまで、長期的な展望を見据えたご指導をいただきました。指導教員以外の先生方に教えを請いに行くことも積極的に奨励される雰囲気ですので、ひとつの問題に対して様々な角度からご意見をいただくことができ、考えを深めることができました。
 また、院生たちで行う研究会や読書会も、研究情報を交換したり学問的知見を深めたりするにとどまらず、研究上の悩みを共有したり互いにアドバイスをしあったりするうえでも非常に有意義でした。志願者の皆さんも、このような恵まれた環境を活かし、充実した大学院生活を送ってください。

 

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学部では文化人類学を専攻していませんが、大丈夫でしょうか。

必ずしも学部で文化人類学の専門コースにいる必要はありません。ただし、文化人類学についての基本的知識を身につけておくとよいでしょう。最近は手頃な入門書、概説書がふえていますので、まずはそれらを参考にし、所属する大学の文化人類学関係の講義・演習を受講することをお勧めします。大切なことは、明確なテーマをもち、これを文化人類学の視点から考える姿勢です。

指導教員以外に研究上あるいは論文の指導を受けたり、論文テーマが変わって指導教員の変更をすることはできますか?

教員全員の共同指導体制をとっており、指導教員以外からも指導を受けることができます。また、研究テーマを変更する必要が生じた場合には、所定の手続きを経て指導教員をコース内で変更することも可能です。

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