外国語教育コンテンツ論

グローバル文化専攻・外国語教育系 外国語教育コンテンツ論コース

最終更新日 2021年8月14日

コースの紹介

 外国語教育コンテンツ論コースでは、新時代の外国語教育の創造に主体的に参画できる人材育成を目指し、外国語教育の内容・方法・展開に関わる研究を総合的に行っています。本コースでは、言語学(コーパス言語学・認知言語学・語用論・音声学・文法学)と教育学(授業論・指導法・教育工学)の学問的基盤をふまえつつ、特に、教育現場での実践的展開を見据えた研究に精力的に取り組んでいます。本コースにおいて、外国語教育を取り巻く諸問題に多面的にアプローチする能力を付けた修了生は、国内外の教育機関等で活躍しています。本コースでは、学部時代の専門にかかわらず、外国語教育を通して社会のグローバル化に貢献しようとする意気込みにあふれた学生の受験を歓迎します。

コース公式ブログ

 
進路実績

(前期課程) 武庫川女子大学附属中学校・高等学校非常勤講師、金沢大学非常勤講師、神戸大学附属中等教育学校教諭、兵庫県立高校教諭(2)、滋賀県立高校教諭、神戸女学院中高等部教諭、沖縄県立高校講師、西大和学園中高講師、尼崎市立中学校教諭、神戸市立中学校教諭、(株)矢崎産業、(株)SONY Computer Entertainment, Taiwan、(株)三菱電機、(株)白鳩(インターネット通販)、(株)日立ソリューション、(株)富士通、他。

(後期課程) 外国人特別研究員(神戸大学)、近畿大学准教授、環太平洋大学教授、大阪大学准教授、広島国際大学専任講師、福井大学助教、関西外国語大学(非)、関西大学(非)、流通科学大学(非)、中南財経政法大学講師、山東科技大学講師、西安理工大学講師 他

在籍学生数

(前期課程) 8名

(後期課程) 5名

論文テーマ例

(前期課程) 
「小学生のための基本名詞コロケーションリスト」「中国北方方言話者の日本語有声破裂音に対する日本語母語話者の知覚」「日本語書き言葉における「形容詞+条件節」の使用」「日本人英語学習者のライティングにおける英語習熟度とパラグラフライティングに対する知識・理解及びアウトラインの関連性について」

(後期課程) 
“Learner orientations towards short questions and transition relevance during simulated fast-food encounters”「作文に見る学習者のヘッジ使用」「学習段階の変化が日本語学習者の外来語使用に及ぼす影響「日本語学習者書き言葉コーパス」を用いた縦断調査」

所属教員の紹介

石川 慎一郎 教授 外国語教育内容論特殊講義II ほか
応用言語学の観点から、コーパス(大規模テキストデータベース)を使った英語・日本語の言語分析・教材分析・教材開発・語彙習得などを主として研究しています。あわせて、語彙処理の心理的機制や、小中高大での言語教育のカリキュラム設計、教授法などにも関心を持っています。科学的な視点から言語や教育の問題を考えてみたい学生を歓迎します。

柏木 治美 教授 外国語教育工学論特殊講義ほか
情報通信技術の学習環境への応用に関する研究を行っています。最近は、3DのCGキャラクタを取り入れ,ユーザとCGキャラクタとの双方向性・対話性を実現するシステムの検討を行い,学習や学習意欲の継続との関係を探りたいと考えています。新しい技術を取り入れた学習環境の開発研究に興味を持つ学生を歓迎します。

木原 恵美子 准教授 外国語教授学習論特殊講義ほか
認知文法の観点から英語の文法現象の記述を行いながら、文法の学習メカニズムの分析や教授法の開発に関する研究も行っています。特に、「構文」という概念を用いて、英語母語話者や英語学習者が使用する構文を分析することによって、認知文法や構文文法の実用性と限界を検証しています。文法の分析や記述に興味がある学生を歓迎します。

Tim Greer 教授 第二言語運用論特殊講義ほか
言語表現とそれを用いる人との関係に関心を持っています。会話分析を始めとし、質的調査方法を使用し、第二言語語用論(L2 Pragmatics)を専門にしています。二ヶ国語で行う会話、オーラル英語能力試験での会話、日常会話など様々な場面で「言葉を使った社会的行為」を研究しています。また、言語教育、教材分析、アイデンティティ構成、バイリンガリズム、などの研究も行っています。

朱 春躍 教授 言語対照応用論特殊講義II ほか
言語音声を生理学的、物理的、心理的諸側面から研究し、外国語の発音をいかに効率よく教えるかを検討しています。調音的にはMRI 動画の分析、音響的には音声のスペクトルやピッチ等の分析をしています。言語音声や外国語の発音・発音指導に興味を持つ学生を歓迎します。

芹澤 円 助教 言語対照応用論特殊講義ほか
歴史語用論の観点から、近世ドイツの印刷メディアにおける口語性・文語性、構文や語彙の分析をしています。また最近では、テクストと図像の関係性(ビジュアル・リテラシー)の分野にも関心を持っています。

大和 知史 教授 外国語教育内容論特殊講義I ほか
英語教育の中でも、英語発音指導(特にイントネーションなどのプロソディ)を主な研究テーマとし、学習者の英語音声の使用実態の把握、指導への応用などを主に研究しています。また、語用論的能力育成のための指導に関連した理論的背景の精繊化や指導法にも関心があります。

 

所属学生からのメッセージ

堀家 利沙さん
(博士前期課程2年)
香川大学教育学部卒業
研究テーマ:「日本人高校生のための重要句動詞の選定」

★メッセージ
 高等学校の英語教員として働く中で、ある日、生徒からどの英単語や連語から優先的に学べばよいのかわからないという質問を受けました。学ぶ側に立てば、重要で、使う場面の多い語句から学びたいというのは当然の意見です。生徒の英語習得の助けになる語句を選定する上で、自分の経験に頼るだけでは不十分で、何か根拠が必要だと感じました。そこで、大学院への進学を決意し、現在は高校生のための英語句動詞リスト作成に向けてコーパス研究を進めています。
 大学院に進学する前は、コーパスや統計的な知識はほぼありませんでした。当初は、研究を上手く進めていけるだろうかという不安もありましたが、様々な講義を受講する中でそのような不安もいつの間にか消えていました。大学院には、わからないことに直面した際に、その壁を乗り越えるのを助けてくれる先生方や同じ志を持つ仲間たちが多くいるからかもしれません。この1年を通して、大学院は既に持っている知識をさらにブラッシュアップする上でも有益な場所ですが、新たなことに挑戦し、一から学ぶ機会も得られる場だと感じました。昨年は、高等学校3校のご協力を得て、英作文データを収集し、学習者コーパスを作成しました。現在は、他のコーパスの分析も併せて行いながら、どの句動詞の習得が高校生にとって特に難しいのか、どれから優先的に指導すべきなのか、といった生徒や教師仲間の質問に少しでも答えられるように研究を進めています。
 社会人になってから、大学院進学を検討する場合、このタイミングで挑戦すべきだろうか、学生に戻って上手くやっていけるだろうかなど様々な葛藤があるかもしれません。しかし、いざ学び始めると、新たな学びや発見に直面する度に、勇気を出して挑戦して良かったと思えるはずです。本コースは、コーパス言語学、音声分析、会話分析など多岐に渡って言語教育について学べるため、多くの方々の挑戦の手助けになると思います。

 

瞿 琦さん
(博士後期課程 3 年)
台湾・東呉大学大学院日本語文学研究科博士前期課程卒業
研究テーマ:「日本語破裂音の音声的特徴」

★メッセージ
 私の研究領域は音声学です。特に日本語の有声・無声音の弁別特徴について実験分析を通して研究し、中国語系日本語学習者の知覚に及ぼす影響を検討しています。より専門的な研究や調査の手法・技術を学ぶため、私は日本へ留学を決意し、本コースに入学しました。
 本コースには、日本語から中国語、英語、ドイツ語まで、それぞれの言語の文法・音声・語彙等専門性の高い知識・研究スキルを備えた教員の方々がおられます。また、音声学、統計学、コーパス言語学、第二言語習得、教育学等、幅広い分野において基礎知識や分析技術を深く学ぶこともできます。
更に、各自所属研究室においてのゼミでは、指導教官からの直接指導を受けられるのはもちろん、同じゼミ生からも研究課題について様々なアドバイスをもらうことができます。
 最後に、本コース最大の特徴といえば、月一回の集団指導です。集団指導では、自分の研究進捗をコース内の教員や院生に発表していきます。専門性が異なる教員の方々や学生から貴重なアドバイスが得られ、自身の研究を深化させることができます。
 本コースには、研究にとって最も重要なイマジネーションが湧き溢れています。このような自由闊達に意見が述べられる雰囲気で、私はこのコースの院生の一員として言語に関する知識を得ただけでなく、研究の面白さ、奥深さに気づくこともできました。本コースは自分次第で自分の可能性を大きく広げられる最適の場であると言えます。

 

修了学生からのメッセージ

李 通さん

(2020 年度博士前期課程修了)
研究テーマ:「中国北方方言話者の日本語有声破裂音に対する日本語母語話者の知覚」

★メッセージ
 私は学部時代に日本語スピーチコンテストに参加した経験があり、自分の日本語会話能力を伸ばす過程で、日本語の発音の仕組みに興味を持つようになりました。大学四年生の頃、長崎大学での交換留学により、日本語学習者と日本語母語話者との間の発音上の違いをより細かく観察することができ、中国人日本語学習者の日本語破裂音の習得上の問題点に気づきました。例えば、日本語学習者は発音した有声破裂音が日本語母語話者に聞き間違えられたり、日本語母語話者が発音した有声・無声破裂音を聞き間違えたりすることがあります。その後、私はこの問題について学術的な観点から研究を行いたいと考えるようになり、幸いにも神戸大学国際文化学研究科に入学することができました。入学当初は、かなり難しい研究課題でしたが、本コースの先生方から多方面のアドバイスを頂き、研究をスムーズに進めることができました。本当に充実した2年間を過ごさせていただきました。
 本コースには言語教育に関連するコーパス言語学、音声学、会話分析など様々な分野に精通した先生方がおられます。毎月の集団指導により自分の修士論文研究を進めていきながら、先生方からのアドバイスにより、新しいアイデアや発想が生まれるのも貴重な経験となりました。これから、本コースでの学びを通して身に着けた柔軟な発想力を生かし、就職先で頑張りたいと思います。

 

中西 淳さん
(2020 年度博士後期課程修了)
研究テーマ:「日本人英語学習者による前置詞使用」
現在、大阪工業大学特任講師

★メッセージ
 私は、学部時代に、自分が留学中に書いた英語日記を調査することによって、自身の英語能力の変化を明らかにしたいと思い、第二言語習得研究(SLA)という分野にたどり着きました。特に、前置詞の使用にはとても苦戦したこともあって、日本人英語学習者の前置詞使用にどのような問題点があり、これらの問題点を改善するにはどのような学習や指導が必要になるのかについて興味を持つようになりました。このような点を明らかにするための1つの手段として学習者コーパス研究があるということを知り、大学院では、コーパス言語学を専攻しました。
 外国語教育コンテンツ論コースでは、コーパス言語学をはじめ、認知言語学や、語用論など、様々な専門領域で活躍されている先生方からの指導を受けることができ、さらに、まったく異なる分野の研究をしている院生とたくさん交流することができました。これらの経験のおかげで、常に広い視野を持って自身の研究に取り組むことができたと感じています。また、本コースでは、定期的に院生が学内発表をする機会が設けられており、これに向けて自身の研究を進めることができ、くわえて、他の院生の研究成果を聞くことができました。これらは、自身の研究の励みになり、5年間、コツコツと研究を持続させていくことができたと感じています。
 本コースでは、こういった経験や刺激をたくさん得られるので、将来、研究者になりたいと考えている人だけでなく、自分の興味や視野を広げてみたいと考えている人にとっても、とても有意義なものになると思います。

 

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英語以外の外国語教育を学ぶことはできますか?

本コースでは、英語・日本語・中国語・ドイツ語の研究指導も行っており、所属学生にもこれらの諸言語を専攻している方がいます。多言語の視点から外国語教育を考えるのが本コースの特徴です。

英語教員免許を取得できますか?

学部時代に一種免許状を取得している場合は、博士前期課程で指定された科目の単位を取得することによって専修免許状を取得することができます。また、一種免許状を取得していない場合は、大学院に在籍しながら学部科目を並行履修して、教員免許(一種免許状)取得に必要な科目の単位を一定数の範囲で補うことが可能です。

学部時代の専門が語学や教育学ではないのですが、本コースで研究していけるでしょうか?

これまでに在籍していた院生の学部時代の専門は、言語学・言語教育学のみならず、文学・法学・経済学などさまざまです。語学力と語学教育への熱意があれば、大学院において新たに外国語教育の研究を始めることも十分に可能です。本コースでは、導入的な講義を体系的に開講しているので、これらの履修により、2年間で修士レベルの知識や分析スキルを身につけ、さらに、後期課程で研究を深めることができます。

留学経験者は多いのでしょうか?

これまでの在籍者は、米国、ドイツ、豪州などで留学を経験していました。韓国で実地調査を行った学生もいました。院生が留学しても、指導教員とメールなどで頻繁に連絡をとりあうため、きめ細やかな指導とサポート体制が整っています。在籍者のなかには留学生もおり、国際色豊かなコースです。

修了後の進路状況はどうですか?

教育職への就職が多くなっています。前期課程修了者は、全国の公私立の高校・中学校の英語教諭として活躍しており、後期課程修了者は国公私立大学講師などに就職しています。この他にも、民間企業の海外部門で活躍する修了生もいます。また、高校や大学で教員として勤務しながら本コースで研究活動に取り組んでいる学生もいます。

神戸大学大学院国際文化学研究科/国際文化学部
〒657-8501 兵庫県神戸市灘区鶴甲1-2-1
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