15の多様な専門コース

グローバル文化専攻・現代文化システム系 芸術文化論コース

最終更新日 2014年8月1日

コースの紹介

芸術文化論コースは、芸術文化コンテンツ系と芸術文化環境系から構成され、造形美術(絵画)、文学、舞台芸術(音楽、オペラ、演劇)、ファッションなどの芸術(アート)作品と社会との関わりについて研究しています。
コンテンツ系では作品内容の分析を通してそこに反映される社会意識や世界観を考えます。環境系では、創作の自由やアートヘ容易にアクセスできる権利の保障、文化施設運営の実際などについて、国際比較を踏まえて考察し、文化政策のグランドデザインや、その具体的実践としての芸術と社会をつなぐアートマネジメントに取り組んでいます。
本コースでは、学部時代の専門に関わらず、芸術とそれを支える環境に関心を持ち、専門的に学ぼうとする意欲にあふれた学生の受験を歓迎します。

進路実績

(前期課程) 神戸大学連携創造本部助教、兵庫県立芸術文化センター職員、公益財団法人びわ湖ホール職員、神戸市民文化振興財団職員、神戸市灘区民センター指定管理者、関西フィルハーモニー管弦楽団、同志社大学職員、大阪大学職員、安芸市役所、NPO法人コミュニティアートセンタープラッツ、カフェ・カンパニー、他

(後期課程) 同志社大学教授、福井大学准教授、京都橘大学准教授、東北工業大学准教授、大阪府商工労働部主任研究員、サントリーホールディングス、神戸大学非常勤講師、大阪市立大学非常勤講師、関西学院大学非常勤講師、大手前大学非常勤講師、流通科学大学非常勤講師。

在籍学生数

(前期課程) 1年4名(内キャリアアップ型2名) 2年6名(内キャリアアップ型1名)

(後期課程) 1年0名 2年1名 3年3名

論文テーマ例

(前期課程)
地域コミュニティ、パブリックシアターの組織運営、民間非営利組織間のネットワーク形成、持続可能なコミュニティアート、ベルリンの「社会文化センター」、スウェーデンの文化政策と市民活動、シンガポールの文化政策、文化遺産の保護と活用:フランスと中国の旧市街地、パリ市の都市空間整備、ロシア帝政期の教会建築、ジャポニスム、林忠正、印象派画家カイユボット、フランスの女性作家、前衛書と抽象表現主義絵画、コルセットの表象、日本のストリートファッション、他

(後期課程)
文化政策と社会的包摂、日本の近代広告、ドーミエと近代都市パリ、戦前の日本における近代フランス音楽の受容、ジャポニスム期の日本陶磁器コレクションと日仏の交易、宮沢賢治と光学、他

所属教員の紹介

朝倉 三枝 准教授 現代芸術社会論特殊講義ほか
専門は西洋服飾史で、ファッションという切り口からフランスを中心とする近現代ヨーロッパの芸術文化について研究をしています。特に19 世紀後半から20 世紀初頭の芸術とファッションの関わりについて考察を進めています。身体論、日仏交流史、ブランド文化論等にも関心があります。

池上 裕子 准教授 現代芸術動態論特殊講義ほか
第二次世界大戦後の美術と国際美術シーンのグローバル化。専門はアメリカ美術ですが、戦後の国際政治における文化外交にも関心があり、日米交渉史や戦後日本美術の研究に取り組んでいます。綿密な作品研究から芸術を比較文化的・社会政治的に論じることを目指しています。

岩本 和子 教授 芸術文化共生論特殊講義ほか
研究テーマはフランス語圏文化、特に19 世紀のフランス文学と、隣の多言語国家ベルギーにおける文化的アイデンティティの問題や文化政策です。また、マグレブ、クレオールなどのフランス語圏ポストコロニアル文化、マイノリティ文化にも関心があります。

楯岡 求美 准教授 芸術文化表象論特殊講義ほか
20世紀のユートピア思想の実験的空間であったロシア・ソ連を手がかりに、社会と芸術表現とのかかわりについて考えています。ロシア演劇史が専門ですが、生活をデザイン(創造)するものとして、また世界観を伝えるメディアとしての芸術表現にも関心があります。

藤野 一夫 教授 文化環境形成論特殊講義ほか
音楽文化論、文化政策、アートマネジメントについて、理論と実践の両輪で取り組んでいます。近年アートが創造都市や地域活性化の道具として注目されていますが、芸術文化の公共的価値性はもっと多様であることを明らかにしたいと考えています。

吉田 典子 教授 表象文化相関論特殊講義ほか
フランス近代の文学と美術が専門で、特にゾラとマネや印象派の絵画を研究しています。一般に、文学作品や絵画・写真・ファッションなどの表象文化を、時代の歴史的・社会的な文脈の中で分析することが課題です。ジャポニスムなど比較文化や日仏交渉史、ジェンダー論にも関心があります。

 

所属学生からのメッセージ

スンブルフー(森布尓夫) さん(博士前期課程1年)

内モンゴル師範大学外国語学部英語学科卒業
研究テーマは「中国内モンゴル自治区におけるモンゴル族若者文化の実態――モンゴルロックミュージックの展開と受容を中心に」

art-suburho★メッセージ
 私は幼いころから日本文化の影響をうけてきており、その中でもアニメソングが好きでした。学部時代の日本への短期旅行を通して、私は日本の若者たちの文化に惹かれ、それも欧米文化の影響を受けながら、なおかつ日本の伝統文化が保たれた、個性あふれる若者文化が日本において生み出されていることに大変関心を持つようになりました。

そこで私が考えたのは、草原から都市に移住した中国におけるモンゴル族の若者たちにも同様に伝統文化と異文化との狭間で、民族文化が保たれた若者文化が形成されて行くのだろうかという問題です。しかしこれまでの研究では、都市部モンゴル族の若者たちの文化が注目されることはほとんどありませんでした。したがって私は、モンゴルロックミュージックの展開と受容の実態調査を通して、この問題を考えていきたいと思いました。

私にとっては、本コースが持つグローバルな研究視座やオープンな研究環境が大変魅力的です。本コースは、日頃各専門分野の先生方の指導の下で研究の輪を広げ、世界各地から来た学生たちとの交流を通じて、グローバルな視点を持って研究に取り組むことが望める場であると思います.

小林瑠音さん(博士後期課程3 年)

学習院大学法学部卒業、大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程修了。
英ウォーリック大学文化政策研究センター博士前期課程修了。
研究テーマは「英国コミュニティ・アートとアーツカウンシルの政策方針」。

art-kobayashi★メッセージ
私は、地域コミュニティが抱える社会的課題に対して、積極的に介入していくアートと文化政策の関係性について研究しています。特に、その先駆例の一つとされる1960年代から1980年代の英国コミュニティ・アートと、それに対するアーツカウンシル(芸術評議会)の政策方針の変遷に注目しています。現在は社会人学生として、民間劇場に勤めながら、現場での今日的課題の収集にも努めています。文化政策研究のためには、理論と実践双方の視点から事象をとらえ、それぞれの言語を操るバランス能力と洞察力が必要です。そのような学際的研究に際しては、本コースの先生方は、つねに新しい視座と貴重なご指導を与えて下さいます。他の学生の皆さんも、ご自身が表現者である方や、アートマネジメントの現場で実務を重ねている方々が多く、大変刺激的な環境です。大学院での高い専門性の習得に研鑽を積むとともに、多角的な視点と柔軟な応用力を養うことができるのが本コースの魅力のひとつだと思います。大正から昭和初期の音楽家たちが、様々な音楽活動(演奏、作曲、録音等)を通していかなる社会的役割を果たそうとしたのか、彼らの理想と現実を研究しています。いわゆる芸術音楽の世界が主な研究対象ですが、諸芸術は孤立して発達してきたのではなく、互いに密接に影響し合いながら歴史を築いてきたため、本コースに所属されている音楽以外の芸術分野がご専門の先生や院生の方々との議論から多くのヒントを頂きながら、狭い意味での音楽の世界に閉じ篭らず、広い視野を伴う「音楽文化史研究」を目指しています。また、本コースには積極的に大学の外に出て芸術文化活動を実践している方が多く、「過去」の研究をベースに「現在」と「未来」を考える機会が日常的にあります。こうした研究対象の多様性、そして理論と実践のバランスの良さが、本コースの魅力だと感じています。

 

修了学生からのメッセージ

福島 寿史さん(2009 年度博士前期課程修了)

神戸大学国際文化学部卒業。神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了。
研究テーマは「ショパンの受容史」。
びわ湖ホールを経て、現在日生劇場に勤務。

福島 寿史★メッセージ
大学院への進学を決めたのは、学部4回生の秋のことです。留学先のワルシャワから帰国し、進路に悩みながらシラバスのページをめくっているとき、「アートマネジメント」という名前が目にとまりました。当時の私は、この分野に批判的でした。学部生の頃に開かれていた同名の講義は、現場主義的な実践論に終始し、学問として魅力的なものであるとは思えませんでした。そのような私が、改めてこの領域に臨むきっかけとなったのは、ワルシャワでのピアニストとの出会いでした。彼らの状況は切実でした。いくら優れた技術を持っていても、機会がなければ聴いてもらえず、演奏家としても認めてもらえません。この問題を解決するには、現場をつくりだす方法が必要であり、そのためにはアートマネジメントの実践主義が有効なのではないかと考えた私は、敢えてこれに取り組むことにしたのでした。大学院では、国内外の多くの現場を見ることができました。オーケストラの小学校へのアウトリーチ事業に制作スタッフとして同行したり、ドイツの大学でアートマネジメント教育の実際を観察したり。わけても神戸国際芸術祭の運営に携わることができたのは、得難い経験でした。こうした実践経験のすべてが、現在につながる仕事の糧となっています。

竹内 幸絵さん(2010年度博士後期課程修了)

神戸大学国際文化学研究科博士後期課程修了。
サントリーホールディングス勤務を経て、現在同志社大学教授。2010年より大阪市立大学文学部非常勤講師、2011 年より関西学院大学社会学部非常勤講師、2011 年10 月に博士論文に基づく著書『近代広告の誕生―ポスターがニューメディアだった頃』(青土社)を出版。

竹内 幸絵★メッセージ
博士後期課程に合格した2007年春、私は、会社員(サントリー勤務)であり研究者でもあるという研究スタイルに、そして研究そのものの方向性にも不安を抱えていました。私の研究は日本の広告史です。ポスターなど広告の見た目の変遷からの社会史探求を目指してきました。これはデザイン史と社会学を行き来するような無謀な試みともいえます。しかし先生方は風変わりな研究スタイルにも研究ジャンルにも多様性を許容し包容してくださいました。大学院生として、てらい無く先生方に質問できた3 年間は本当に貴重でした。この間の先生方の真摯で的確なご指導と熱い思いが、私のステージを引き上げてくださったことを確信しています。ご指導頂いた足りないところを全て補完する事は、まだまだ出来ていません。しかし縁あって修了翌年、博士論文を基とした出版が叶いました。出版社の理解もあり、出来上がった本は500余点の図版を満載した類例のないものとなりました。迷っていた入学時を思うと夢のようです。国際文化学研究科の学究の場に、感謝の気持ちで一杯です。

 

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学部時代の専門は芸術がテーマではないのですが?

芸術文化の研究もまた歴史や現代社会のさまざまな事象につながるものですから、学部時代の勉強を生かしてテーマ設定をすることは可能です。また博士前期課程では、自分の関心あるテーマだけではなく、いろいろな作品にできるだけ幅広く触れてほしいと考えています。

語学力は必要でしょうか。

研究する際に必要になる考え方の多くが欧米の研究を基礎としていることもあり、英語を知っていることは研究の大きな助けになります。また、芸術文化は言語と密接な関係にありますので、すくなくとも入学後には研究対象と関係する語学を学習してほしいと思います。

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