15の多様な専門コース

グローバル文化専攻・現代文化システム系 モダニティ論コース

最終更新日 2017年8月22日

コースの紹介

  国民国家という政治原理であれ市場という経済原理であれ、あるいは小説という文学形式であれ遠近法という絵画技法であれ、西欧近代に由来するこれらの社会的・文化的な装置は、現代世界の基本的な枠組みをかたちづくってきました。ところが現在、この西欧近代の原理(モダニティ)は、グローバル化の進展ととともに根底から揺らいでいます。こうしたなかで求められているのは、あらためて「モダニティ」の意味を問いなおし、激動する世界のゆくえを的確に読み解くことだといえるでしょう。本コースでは、近現代の社会思想・経済思想・政治思想・文化言説・表象文化を丁寧に分析することをつうじて、アクチュアルな課題に応えうる足腰の強い思考力を養成することをめざしています。

 
就職実績

(前期課程) 西宮市役所、神戸大学(職員)、日本山村硝子、高知新聞社(記者)、共同通信社(記者)、イオン、がんこフードサービス、オーケー株式会社、金蘭中学校・高等学校(教員)、JNC、兵庫県高校教員(英語)、宝塚市役所 他

(後期課程) トルコ・チャナッカレオンセキズマルト大学日本語教育学科専任講師

在籍学生数

(前期課程) 3名

(後期課程) 4名

論文テーマ

(前期課程)
ミシェル・フーコーとエルキュリーヌ・バルバン、ピーター・バーガーの「日常」概念と宗教、アルフレッド・シュッツにおける「レリヴァンス」概念、批判理論における<女性的なもの/母性的なもの>をめぐって、H・アーレントにおける赦しの概念について、理解社会学の展開―ウェーバー・シュッツ・エスノメソドロジー、W.ベンヤミンの初期言語哲学再考―翻訳と批評を中心にして、他

(後期課程)
エルンスト・ユンガー、技術、ニクラス・ルーマン、社会システム論、ハーバート・スペンサー、日本社会の近代化、D.H. ロレンス、エコクリティシズム、他

所属教員の紹介

石田 圭子 准教授 文化言説系譜論特殊講義ほか
美学・表象文化論。近代以降の芸術と政治の関わり、芸術における他者とのコミュニケーションなどをテーマにしています。
著書 :『美学から政治へ モダニズムの詩人とファシズム』(慶応大学出版会)など。

市田 良彦 教授 近代経済思想系譜論特殊講義ほか
社会思想史。アルチュセール、フーコー、ドゥルーズなどのフランス現代思想を中心に、今日における政治・経済・文化の哲学的分節を考察しています。
著書:『アルチュセール ある連結の哲学』(平凡社)など。

上野 成利 教授 近代政治思想系譜論特殊講義ほか
政治思想・社会思想史。ホルクハイマー、アドルノらフランクフルト学派にかんする思想史研究を基軸にしながら、「暴力」「自由」「公共性」等の鍵概念の社会哲学的な分析に取り組んでいます。
著書:『思考のフロンティア 暴力』(岩波書店)など。

廳 茂 教授 近代社会思想系譜論特殊講義ほか
社会学説史・社会思想史。ジンメル、ウェーバー、テンニースなどの社会理論に関する思想史研究を基盤としながら、近代思想における社会、歴史、文化、生などの諸概念の錯綜の意味について分析しています。
著書:『ジンメルにおける人間の科学』(木鐸杜)など。

松家 理恵 教授 表象文化系譜論特殊講義ほか
イギリス文学・思想。 18 世紀からロマン主義のイギリス文学・思想を中心に、近代の自然観や共感的想像力について現代における意味を考察しています。
著書:『キーツとアポローン―ジョン・キーツの詩とギリシア・ローマ神話』(英宝社)など。

 

 

所属学生からのメッセージ

竹内 勇輔さん(博士前期課程2年生)

神戸大学国際文化学部卒。
研究テーマ:ルイ・アルチュセールの哲学観

★メッセージ
   外国の思想家の哲学観を学ぶということが、いったい何の役に立つのかと訝しがられるかもしれません。ところがこの「役に立つ」とはどういうことかを真剣に考えることは必ずしも無駄なことではなく、この問題にこそ自分自身との関係において哲学を通じて学ぶべきことがあると思います。「役に立つ」という観点からいえば、自らの考えを根拠立てて説得的に展開することは大学の中でも外でも役に立つ能力であるといえるでしょう。そしてそのためには本を読むという作業が欠かせません。アルチュセールはこの「読むとはどういうことか」を哲学的に考え抜いた人でした。モダニティ論コースは私にとって、「読む」ことの高度な実践の場となっています。

 

畠中 茉莉子さん(博士後期課程3年)

2012 年神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了。
研究テーマ:ニクラス・ルーマンの社会理論と宗教。

畠中 茉莉子★メッセージ
   私は、戦後ドイツを代表する社会学者ニクラス・ルーマンの社会理論について、とくに西欧社会の近代化を考える際に重要な宗教との関連を軸に研究を行っています。私だけに限らず、モダニティ論コースに属する学生は一つの分野に捉われることのない多彩な観点を持つことを必要とするテーマに従事することがしばしばありますが、このコースはまさにそれを可能とする環境を提供してくれます。それに加えて、このコースの大きな特徴は、厳密なテキスト読解を原則とした指導がなされるという点にもあります。こうした方針のもとで確かな基礎的技術を身に着けることは、将来研究者を目指す人にとってのみならず、社会に出た後にも通用する重要な能力といえると思います。

 

 

修了学生からのメッセージ

海野 梢萌さん(2009 年度博士前期課程修了)

岡山大学文学部卒業、2010 年国際文化学研究科博士前期課程修了、共同通信社記者。
研究テーマ:ミシェル・フーコーの闘争とは何か。

★メッセージ
   学部時代には思想史上の一つとしてしか学習できなかったミシェル・フーコーの思想を、専門としてより洗練・発展させたいと考え、本コースを志望しました。本コースの一番の魅力は自主性と独自性が尊重されることです。私の場合も例外ではなく、研究テーマ以外にも国際問題など様々な授業も受講し、学習計画を自分で設定することができました。ご指導いただいた先生方からは、知識のインプットという研究の初歩から、日々の発表や討論を通じて「他の誰でもなく、自身の考えを基に題目を論じる」という、アウトプットまでの道筋を示していただきました。また、この研究科の特色である様々なバックグラウンドを持った院生や研究生と議論を交わせたのは、大きな刺激となりました。
   修了までの2年間は、私にとってかけがえのない時間であり、現在も大いに役立っています。ある事象を前にしたとき、場当たり的に反応するのではなく、独自の論点を探し当てる手法は訓練なしには身につきません。本コースを通じ、私はその手法の一つを得たように思います。特に、フーコーは文学にとどまらず、現代の人文社会学内で最も多く引用される学者のうちの一人です。法曹関係者や人権活動家らは例外なく彼の名前を知っているので、専門が説明し易く、より深い話ができるのも大きな魅力です。テキストと向かい合い議論する環境と、多様な専門家による知的刺激が、皆さんを迎えてくれることでしょう。

 

川本 健二さん

大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。神戸大学総合人間科学研究科博士前期課程修了、神戸大学国際文化学研究科博士後期課程修了。
研究テーマ:写真を中心としたメディア文化。また、日本語教育でもメディアを活用した言語教育の在り方とそこでの「文化」の扱い方について研究している。
現在、トルコ・チャナッカレオンセキズマルト大学日本語教育学科の専任講師をする傍ら、写真史についての調査や写真家活動も行っている。

川本 健二★メッセージ
   モダニティ論講座は、社会学、思想、哲学、政治学、美学などの既存の学問領域にとらわれない講座です。私の場合は「写真」という切り口でしたが、この講座の大きな枠組みの中で自分のテーマに向き合えたおかげで、写真の芸術作品論に終始せず、写真イメージの「技術と生産」の研究として、また撮影者に注目した「主体」の研究として、独自の展開ができたと思っています。
   もちろん、現在の就職事情を考えれば、大学院でこのような思想的テーマを選ぶことはリスクがあると言わざるをえません。しかしグローバル化が進む中で、この講座が行う「文化」「社会」などへの根本的な問いかけは、どのような分野であっても、ますます必要なものとなっていることは確かです。現在、トルコでの写真の調査や、他分野である言語教育やその研究プロジェクトなどにも参加していますが、ここでもモダニティ論が扱う議論がいかに重要なものであるかを実感しています。
   社会学的、思想的な課題に向き合いたい方はもちろんですが、特定の文化的現象を学際的に捉え直したい方にとっても、この講座での経験は実り多きものになると思います。

 

 

qa

研究テーマを絞り込むのではなく、広く「モダニティ」全般について学ぶことは可能でしょうか?

可能です。むしろ近現代の思想的諸問題について広く学べることが、モダニティ論コースの強みともいえます。とりわけ前期課程のキャリアアップ型プログラム履修生の場合には、社会思想・経済思想・政治思想から文化言説・表象文化にいたる科目群を広く履修しながら、幅広い分野について知見を深めることが望ましいでしょう。 研究者養成型プログラム履修生の場合には、もちろん適切にテーマを絞り込まなければ修士論文を執筆することは不可能ですが、従来型の大学院では扱いにくい学際的な主題を正面から取り上げることができる点が本コースの最大の特長といえます。

フランス思想やドイツ思想を研究したいのですが、仏語や独語の知識はどれくらい必要でしょうか?

前期課程「研究者養成型」プログラム志望者でフランス思想やドイッ思想を研究対象とする人の場合には、仏語や独語の読解力をある程度そなえていることが望ましいといえます。独仏語で受験できればそれに越したことはありません。とはいえ入試そのものは英語で受験することが可能です。受験に臨んでまずは英語の読解力に磨きをかけ、前期課程のあいだに仏語や独語の読解力を鍛えてゆけばよいでしょう。むろん英米思想の研究志望者の場合には、独仏語の代わりに英語のテクスト読解にいっそう注力してください(なおキャリアアップ型プログラム履修生の場合には独仏語をかならずしも必要としないと考えてもらって差し支えありません)。

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