15の多様な専門コース

グローバル文化専攻・現代文化システム系 先端社会論コース

最終更新日 2014年7月3日

コースの紹介

現代社会では、人間・自然・社会の相互関係が大きく揺らぎ、ますます複雑化してきています。「先端社会論」コースは、この現代杜会の先端的な問題群を、人文・社会科学を交差する学際的アプローチによって、領域横断的に検討することを課題としています。例えば、男女の性差を社会的に構成されたものととらえるジェンダー論の視点から、家族や個人や国家をめぐる考え方の変化を分析すること。人間の生死をめぐる規範の揺らぎを理解すること。貧困、移住、人権侵害、体制転換などのグローバルな課題の公正な解決法を構想すること。メディア・テクノロジーの革新が促進する消費社会の情報化と多文化社会が要請する新たな社会観や人間観を模索すること。「先端社会論」コースは、こうした錯綜する諸問題を理論的に解きほぐし、それらに現実的に対処していくためのトレーニングの場です。

進路実績

(前期課程) 兵庫県庁、富士通BSC、(株)三菱倉庫、(株)星野リゾートなど

(後期課程) 花園大学文学部創造表現学科准教授、京大グローバルCOE研究員など

在籍学生数

(前期課程) 1年5名(内キャリアアップ型1名) 2年2名(内キャリアアップ型0名)

(後期課程) 1年0名 2年0名 3年1名

論文テーマ例

(前期課程)
・日米印三国におけるインフォームド・コンセントの比較・検討
・The Politics of‘ Koizumi Theatre’: On the Reconstruction of Japanese Nation-State at the Neo-Liberal Moment
・代理出産の「資格」
・日本における外国人技能実習制度の現在――中国人技能実習生の調査を踏まえて
・Representation of Romanies in Tony Gatlif’s films
・ニュー・クィア・シネマが抱える消費と可視性のジレンマ

(後期課程)
・Occupation and Sexuality:GHQ’s Policy-Making on Prostitution
・関係性としてのフェミニズム――イメージ、個人、方法論の相互作用から
・道徳的個人主義の展開と「心」の変化
・「つくられる共同体」の社会学的研究

所属教員の紹介

青山 薫 教授 ジェンダー社会文化論特殊講義ほか
社会学、ジェンダーとセクシュアリティ。 グローバル化、多文化主義、社会的排除と包摂、親密権、表象の問題などにも関心。移住、ケア/ 性労働、同性婚、性同一性「障害」など、公私にわたる変化を引き起こす事象について、理論・方法論・実証研究を結びつけて追求しています。

小笠原 博毅 准教授 メディア社会文化論特殊講義ほか
社会学、カルチュラル・スタディーズ。とくにメディアとスポーツをフィールドとして多文化資本主義と人種差別の文化との関係を、実証的、理論的、かつ思想史的に検証し考察しています。

桜井 徹 教授 現代法規範論特殊講義ほか
法哲学。「グローバル・ジャスティス」、つまり、経済格差、貧困問題、人権侵害、環境汚染といったグローバルな諸課題を前に、国境という境界線がいかなる道徳的意味をもつのかと

西澤 晃彦 教授 現代社会理論特殊講義ほか
社会学、社会問題論、都市論を専門領域としています。社会的排除と貧困をテーマとして、都市貧困層の生活世界やアイデンティティについて研究を行ってきました。最近は、排除された人々の社会運動について取り組んでいるところです。

宗像 恵 教授 文化規範形成論特殊講義ほか
現代文化の規範に関わる問題のうち、現在は、ゆらぎとともに新たな規範の形成が見られるジェンダーをめぐる規範に、焦点を絞って考えています。近代思想の大きな流れの中で、現代のジェンダー規範をめぐる問題について検討しています。

山﨑 康仕 教授 生命規範形成論特殊講義ほか
法と倫理・道徳との境界領域の問題を研究対象としています。とくに代理出産やヒト胚、脳死状態の取扱いをめぐる問題など生命倫理関係の問題において、倫理や道徳が法制度化されていく際に生じる諸問題を研究しています。

 

所属学生からのメッセージ

楊 方さん(博士前期課程2年・研究者養成プログラム)

中国浙江工商大学日本語言文化学部卒業。
研究テーマは「代理出産の「資格」 ――日本と中国の現状を比較しながら」。

★メッセージ
先端社会論コースでは、世界各地の学生がグローバルな社会問題を異なる視点から捉えて研究し、また指導経験豊富で優しい先生方に支えられています。留学生として、言語などの原因でうまく日本の環境に溶け込めるかどうか心配していましたが、院生の先輩方が暖かく迎えてください、勉強や生活面からも色々助けていただいています。私は授業中の議論や他の院生との交流の中に、自分の研究または現存する社会問題をより複眼的な視点から見るべきだということを学びました。先端社会論コースは知識を深め、また人間性を磨けるところだと思います。

横山 純さん(博士後期課程2年)

神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了後、株式会社ユニクロに入社。株式会社ユニクロを退職し、神戸大学国際文化学研究科博士後期課程入学。
研究テーマは「1980 年代のロンドンのサウンドシステム、海賊ラジオ文化」。。

★メッセージ
大学院進学は、今の時代、周りから「よくやるよなあ」と思われるような事かもしれません。ぼくもそう言われてきました。そう言われて、なぜ進学を選んだのかと振り返ると、それは「興味関心に忠実に、自分で進路を設定し、進める」事が出来るからだと思います。この研究科には、多種多様なフィールドを専門にする、あなたと同じ様に、自分の興味関心に忠実に生きようとしている「わがままな」人たちがいます。ぼくにとって何よりも、この研究科に所属する大きな励みになっています。ここで、何があろうと数年間は、わがままに興味関心に忠実に、がむしゃらに生きる。というのも、こんな時代だからこそアリだと思います。

 

修了学生からのメッセージ

青木 晶子さん(2013年度博士前期課程修了)

北九州市立大学法学部卒業。神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了。
研究テーマは「ハーバーマスにおける討議倫理学から討議理論への展開」。
現在、(株)NTT ビジネスアソシエ西日本に勤務。

★メッセージ
私は、学部時代に興味をもったテーマについてさらに深く学びたいと思い、大学院に進学しました。大学院では、一年目は授業に出席することで複数の分野について深く学び、また、研究に必要なスキルを身に付けました。二年目以降は、授業を通じて得た知識やスキルをもとに、自らの研究を進めていきました。私がこのような大学院生活から得たのは、次のような力と経験です。第一に、「自ら考える力」と「自らの考えを伝える力」です。大学院では、自分で問いを立て、それに対する自分なりの答えを導き出すことや、自分の考えを論理的に伝えることが求められます。私は在学中、その難しさを日々実感していました。第二に、「様々な価値観をもった人と出会うという経験」です。先端社会論コースでは、多様な経歴をもった先生方や学生とともに学ぶことができます。私はこの経験から、自分にとっての「当たり前」を疑う習慣が身についたと思います。
私は、大学院での学びを通じて自分の視野を広げてから就職したいと思い、キャリアアップ型プログラムを選択しました。同様の考えを持った学生は多くいましたが、皆、社会との関わりかたを真剣に考えながら就職活動をし、納得のいく場で働き始めています。このことから、前期課程修了後に就職を目指す方にとっても、この研究科は有益な環境であると思います。

田 恩伊(チョン ウニ)さん(2011年度博士後期課程修了)

神戸大学大学院国際文化学研究科博士前期・後期課程修了後、京都大学Global COE Program 研究員に就任。現在、神戸大学大学院国際文化学研究科学術推進研究員、下関労働教育センター「日韓国際交流・研究推進顧問。
博士論文のタイトルは「『つくられる共同体』の社会学的研究――共同体運動の現代的意味と新たな展開」。
現在の研究テーマは「現代の共同体をめぐる公共政策の新たな取り組みについて――日本と韓国の公共政策から」。

★メッセージ
大学で研究者としての訓練を受けて「研究者たちの社会」に出てみると(入ってみるという表現が正しいのかもしれません)、自分の専門領域だけではなく、それと関連する様々な領域の知的訓練がどれだけ貴重で役に立つものかがよく分かってきます。というのは、緻密にミクロな世界を探りながらも全体としての社会を考えていきたいと願っている私自身の研究姿勢からすると、理論と実践両方からなる深い専門的知識はもちろん、社会的市民活動・交流への参加など、時には国籍を越境する実践的行動力を必要とする場合があるからです。
この先端社会論コースに設けられている社会学、哲学、法学、文化研究などの幅広い研究領域には、こうした研究活動に直結する高度な知的訓練装置が用意されています。もちろん、研究科のこうした装置を自分のものにできるかどうかは、あなた自身の努力と心構えによりますが! この研究科は、多くの領域を融合させ現代社会をよりユニークな視点から探究したい人にとって、堅実な専門性を培ってくれる場だと思います。

 

qa

コース名の「先端社会論」っていう言葉はあまり聞いたことがなく、なじみがないのですが?

そうですね。「先端社会」ってどんな社会なの? と思われちゃうかもしれませんね。でも、「先端社会論」コースは、「先端社会を論じる」コースではなく、「先端的な社会問題を論じる」コース、っていう意味なんです。もう少し詳しくいうと、「現代社会の先端的な問題群に学際的に取りくむ」コースです。

ああ。そうだったんですか。だけど、「先端的な問題群」って、たとえばどんな問題ですか?

科学技術の進歩とか情報化、それにグローバル化とか、現代社会に特有な性格によって引き起こされている新しい問題群、っていったらいいかしらね。たとえば代理母問題とか、地球の温暖化みたいな環境問題とか。身近なところでは、男女の性差の意味あいがゆれ動いていることとか。

そういう問題だったら、ずっと気になっていたことにカブってくるかなあ。でも、さきほど「学際的に取りくむ」っていうお話でしたけれど、専門分野としてはどうなるんでしょうか?

専門分野っていう言い方をすると、今現在のコーススタッフは、社会学、カルチュラル・スタディーズ、ジェンダー論、法学、哲学、倫理学っていうことになるかしら。けれども、「学際的に取りくむ」っていうことは、そうした従来の分野が単独では扱いきれない問題に取りくむ、っていうことですから、あまり専門分野は気にしなくてもいいんじゃないかしらね。

それにしても、学部時代の専門とはだいぶんズレているんですが、だいじょうぶでしょうか?

この研究科には、そういう人のためにキャリアアップ型プログラムがありますし、入試問題に合格点が取れるだけの基礎学力があれば、あとは入学後の熱意と努力だと思いますよ。

すみません。私も質問していいですか。私はドクターまで進学したいという希望を持っているのですが、先端社会論コースの研究者養成型プログラムの入試はかなり難関なのでしょうか?

ドクター進学を考えているのなら、前期課程の入試よりもむしろ後期課程の入試に注意してください。募集人数を見てもわかりますように、前期課程に入学しても後期課程に進学できるとは限りませんから。研究者養成型プログラムを選択するのでしたら、前期課程・後期課程の5 年間で博士論文を完成させるつもりで、そのために必要な基礎学力をしっかり身につけておいてくださいね。

このページの上部へ