15の多様な専門コース

文化相関・地域文化系 アジア・太平洋文化論コース

最終更新日 2019年7月23日

コースの紹介

 現代のアジア・太平洋地域は、経済や国際交流等の面で激しい変動を経験しながら急速に発展しています。その意味では今まさに地球上でも最もホットな地域の一つであると言えるわけですが、それらの表面的な発展の流れを追うのみではこの地域の持つ特質は理解できません。東アジアにせよ、東南アジアや太平洋地域にせよ、各地域が古くから保持してきた複雑きわまりない多彩な伝統というものがあり、その伝統がグローバル化の波をかぶりつつ変容してきた結果が、現在の姿なのです。したがって、この地域の特質を深く理解しようと思えば、社会構造、宗教、歴史、経済状況等々の諸方面から掘り下げた専門的な研究が不可欠となります。本コースでは、それらの専門的な研究視点、研究方法を多様な教授陣が様々な専門領域の授業で伝授し、指導する体制を整えています。

 
就職実績

(前期課程) アジア・太平洋地域関連で活動している諸企業、諸団体等への就職が予想されます。最近の修了者の就職先例:八重洲出版、トランス・コスモス(株)。

(後期課程) 日本での大学・短大・高専・各種研究所、企業などへの就職の他、留学生の場合には出身国での大学や企業における専門職への就職等も期待されます。最近の修了者の就職先例: 中国・内蒙古大学専任講師。中国・北京外国語大学外国語学院専任講師。

在籍学生数

(前期課程) 5名
(後期課程) 10名

論文テーマ

・バンコクの中間層をデモに駆り立てた要因の研究―PDRC及びUDDにおける末端支持者の政治意識―
・インドネシアにおける大学生の恋愛と性をめぐる葛藤
・国際交流活動と進路選択―東南アジア青年の船を事例に―
・アイヌ文化の表象と実践―白老町における文化活動を事例として
・初期日豪関係の展開と日本イメージに関する歴史学的研究
・明代(14-17世紀)の雲南麗江ナシ族・木氏土司
・清末から中華民国初期の内モンゴルにおける近代学校教育の展開と知識人の輩出―ハラチン地域と帰化城トゥメド地域の事例を中心にして―
・清代内モンゴルにおける農地所有とその契約に関する研究―帰化城トゥメト旗を中心に―(第12回アジア太平洋研究賞受賞博士論文)

所属教員の紹介

伊藤 友美 教授 東南アジア社会文化論特殊講義ほか
東南アジア地域研究、タイ研究、仏教と女性研究などの分野を主として研究しています。

王 柯 教授 中国杜会文化論特殊講義ほか
近現代中国思想史、日中関係などの分野を主として研究しています。

窪田 幸子 教授 オセアニア社会文化論特殊講義ほか
オセアニア地域の文化人類学などの分野を主として研究しています。

貞好 康志 教授 東南アジア国家統合論特殊講義ほか
インドネシア現代史、華僑華人研究、水環境史などの分野を主として研究しています。

萩原 守 教授 モンゴル社会文化論特殊講義ほか
東洋史学、特に清代から近現代におけるモンゴルと中国の歴史などの分野を主として研究しています。

谷川 真一 教授 中国社会経済論特殊講義ほか
現代中国の政治・社会運動、政治体制などの分野を主として研究しています。

 

所属学生からのメッセージ

宋 智敏さん
(博士前期課程2年・研究者養成プログラム)
済南大学日本語専攻卒業。
研究テーマは「在日外国人児童のアイデンティティー問題に関する研究―神戸の中国人児童を
中心として」

 ★メッセージ

『外国人子どもの教育問題に関する研究』
入管法改定案は再び移民問題を社会論争の最前線に押し出しました。移民の受け入れは農産物や商品を輸入することと違い、様々な社会問題が伴います。自分が特に関心を持っているのは教育問題です。小学校でのフィールドワー
クを通じて今まで解明されていない問題を見出します。これはグローバル化の進展に伴う国際移住から生じる受け入れ国の社会構造の変動と統合、地域安定には有意義だと思われます。
「私の言語の限界が私の世界の限界を意味する」―ウィトゲンシュタインは、このような言葉を残しています。私は、学部の専攻として日本語を身につけてきたことをきっかけに、日本において自分の世界をより広げたいと考え、本研究科に進学しました。ここでは、日本語という言語の習得が目的ではなく、日本語を手段として、日本、アジア、宗教、地縁政治についての知識を補充しています。様々な領域に長けた教授陣が存在するアジア太平洋文化論コースですが、先生方は、専門的な知識だけではなく、思考方法についても教えてくれました。新聞にせよ、書物にせよ、盲信せず、クリティカルな目で見るべきという指導教授の忠告を私は常に心に留めています。授業を通じて、私が今まで正しくて疑いようのないと考えていた歴史や事件の全く違う側面を学びとても感慨深い思いになりました。また、授業では、世界中からきた留学生と議論することを通じて、新たな視点を得ることもできます。本コースでの学びにより、私は毎日充実した有意義な留学生活を送っており、素晴らしい人生経験になっています。

 

矢野 涼子さん
(博士後期課程3 年)
大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。研究テーマは、「19 ~ 20 世紀サモアにおけ
る政治の近代化に対する現地住民の対応」

★メッセージ
 普段、ニュースや世界史の教科書にほとんど取り上げられることのない小さな島にだって、人々の生活があり、現在にまで伝えられるべき過去があるはずだ。こうした考えから、私は太平洋諸島の歴史学を学び始めました。現在、私は、太平洋諸島のサモアという地域を事例とし、「近代的」な政府の設置の過程で、現地住民(太平洋諸島民、欧米人、華僑、ハーフなど)がどんな主張や行動をしたのか、ということを研究しています。
 サモアやニュージーランドなどの公文書館や図書館で収集した史料を読み込み、分析することが、私の研究の主な作業です。史料を読む時間は孤独な時間でもありますが、史料を通じて、通常では聞くことの出来ない過去の人々の「声」を拾うことが出来る魅力的な時間でもあります。こうして明らかになったことを学会や研究会で口頭発表したり、論文にしたりしているうちに、気が付くとあっという間に1年が過ぎています。
 アジア・太平洋文化論コースの魅力は、多角的視点を養えることです。本コースには、地域研究や歴史学、文化人類学など様々な地域や分野を専門とする先生方がいらっしゃいます。また、院生室にはお隣の日本学コースやヨーロッパ・アメリカ文化論コースの院生もいるため、地域や分野の枠にとらわれない議論をすることが出来る環境にあります。さらに、社会人経験者、欧米諸国やアジアからの留学生もいるので、日本人学生だけでは知ることの難しい知識や体験を知ることが出来ます。院生室では日常的に複数の言語が使用されているので、語学の勉強にもなります。自らの研究を通して、新しい世界に出会うことのできる日々を過ごしています。

 

 

修了学生からのメッセージ

ハスゴワ(哈斯高娃)さん
(2016 年度博士前期課程修了) 内蒙古大学外国語学部日本語専攻と長崎外国語大学国際コミュニケーション学科日本語専攻とを、ダブルディグリー制度によって両方卒業。現在、国際文化学研究科博士後期課程在学中。研究テーマは「清末及び中華民国期のオルドス(イフ・ジョー盟)におけるキリスト教宣教師たち-布教活動と現地に与えた影響-」

★メッセージ
 私は中国・内モンゴル自治区出身のモンゴル人留学生です。博士前期(修士)課程では、研究者養成プログラムを選択し、清代及び中華民国期のモンゴル社会を研究しました。前期課程の二年間、指導教員の下で専門的知識を身につけること以外にも、様々な講義科目で幅広い知識を学び、演習科目では他の院生や教員たちと議論して意見を交換することができました。歴史、宗教、社会、政治、思想、文化人類学等の研究分野は、各々細かく分類された厳密な学問ですが、研究においてはその全てがプラスになることを実感しました。また、コースの先生方が全員集まって研究指導を行う「構想発表」や「中間発表」などを通じて、自分の研究において欠けている具体的な課題がわかってきました。
 現在在学中の博士後期課程では、清末・中華民国期に、内モンゴルのオルドス地域で布教していたキリスト教カトリックの一派である聖母聖心会のベルギー人宣教師たちが引き起こした種々のトラブルを事例にして、キリスト教に対するモンゴル人の反発が高まっていった原因を検討しています。
当時、チベット仏教がモンゴル人社会の隅々まで浸透していて、モンゴル人へのカトリックの布教活動は初期段階で挫折しますが、宣教師たちが教徒になった漢人農民に耕地を貸し出すと、漢人の間で大きな布教成果を得るに至りました。しかし、宣教師たちはモンゴル人王公ではなく土地所有権も土地耕作権も持たない漢人農民から不法に大量の土地を「購入」したため、多くのトラブルが発生しました。モンゴル草原に漢人農民が流入するという緊迫した民族関係の上に帝国主義国からキリスト教問題が降りかかったのです。これによって草原の開墾がより進んでいき、結果的にオルドス地域にも非常に大きな影響を与えました。私は、この問題について事実を解明しトラブルの原因を検証して、
オルドス地域に対する歴史的理解を深めたいと考えています。

李 豊さん
(2014年度博士後期課程修了)
北京師範大学外国言語文学学院日本言語文学学部(北京范大学外国言文学学院日本言文学系)卒業。神戸大学国際文化学研究科博士前期課程終了。神戸大学国際文化学研究科博士後期課程終了。
研究テーマは「1950年代の日中貿易と日中関係-日中貿易促進団体の活動を中心に」。現在、北京外国語大学日本語学部講師

★メッセージ
 神戸の夜景は非常に美しいが、六甲山と摩耶山とでは眺めが違います。景色は見る角度でその美しさが変化するのです。こう思うたび、「学問は様々な視点から物事を考えるのが大事だ」という先生の言葉が胸に響きます。数多ある戦後日中関係に関する研究の中で、日本の民間人の役割という視点から考察する研究者はほとんどいません。そこで1950年代の日本の対中民間貿易団体の研究をはじめたのです。
 多様な視点だけでなく広い視野も院生時代に培った宝物です。国際文化学研究科での六年間、多くの先生の授業と指導を受け様々な国や地域の情報を得るとともに、発表や議論などを通じて多様な研究テーマをもつ学生たちとも交流できました。こうして私は中国や日本を超えてアジア太平洋地域から全世界にまで視野を広げ、また歴史学、文化人類学、政治学などの横断的な知識を身につけました。
 現在、自分も大学教員として毎日学問と授業を楽しんでいるが、国際文化学研究科での六年間の大切さが以前より深く感じられます。楽しく有意義な院生生活を送らせてくれた先生、学生、事務の方々に本当に感謝しています。

 

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留学生や社会人入学の院生もいますか ?

本コースでは日本人と留学生の両方がいつも多数在学しており、年度によっては、社会人入学・長期履修生の院生もいます。

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