15の多様な専門コース

文化相関・地域文化系 アジア・太平洋文化論コース

最終更新日 2020年6月29日

コースの紹介

 現代のアジア・太平洋地域は、経済や国際交流等の面で激しい変動を経験しながら急速に発展しています。その意味では今まさに地球上でも最もホットな地域の一つであると言えるわけですが、それらの表面的な発展の流れを追うのみではこの地域の持つ特質は理解できません。東アジアにせよ、東南アジアや太平洋地域にせよ、各地域が古くから保持してきた複雑きわまりない多彩な伝統というものがあり、その伝統がグローバル化の波をかぶりつつ変容してきた結果が、現在の姿なのです。したがって、この地域の特質を深く理解しようと思えば、社会構造、宗教、歴史、経済状況等々の諸方面から掘り下げた専門的な研究が不可欠となります。本コースでは、それらの専門的な研究視点、研究方法を多様な教授陣が様々な専門領域の授業で伝授し、指導する体制を整えています。

 
就職実績

(前期課程) アジア・太平洋地域関連で活動している諸企業、諸団体等への就職が予想されます。最近の修了者の就職先例:八重洲出版、トランス・コスモス(株)。

(後期課程) 日本での大学・短大・高専・各種研究所、企業などへの就職の他、留学生の場合には出身国での大学や企業における専門職への就職等も期待されます。最近の修了者の就職先例: 中国・内蒙古大学専任講師。中国・北京外国語大学外国語学院専任講師。

在籍学生数

(前期課程) 7名
(後期課程) 10名

論文テーマ

・バンコクの中間層をデモに駆り立てた要因の研究―PDRC及びUDDにおける末端支持者の政治意識―
・インドネシアにおける大学生の恋愛と性をめぐる葛藤
・国際交流活動と進路選択―東南アジア青年の船を事例に―
・アイヌ文化の表象と実践―白老町における文化活動を事例として
・初期日豪関係の展開と日本イメージに関する歴史学的研究
・明代(14-17世紀)の雲南麗江ナシ族・木氏土司
・清末から中華民国初期の内モンゴルにおける近代学校教育の展開と知識人の輩出―ハラチン地域と帰化城トゥメド地域の事例を中心にして―
・清代内モンゴルにおける農地所有とその契約に関する研究―帰化城トゥメト旗を中心に―(第12回アジア太平洋研究賞受賞博士論文)

所属教員の紹介

伊藤 友美 教授 東南アジア社会文化論特殊講義ほか
東南アジア地域研究、タイ研究、仏教と女性研究などの分野を主として研究しています。

王 柯 教授 中国杜会文化論特殊講義ほか
近現代中国思想史、日中関係などの分野を主として研究しています。

窪田 幸子 教授 オセアニア社会文化論特殊講義ほか
オセアニア地域の文化人類学などの分野を主として研究しています。

貞好 康志 教授 東南アジア国家統合論特殊講義ほか
インドネシア現代史、華僑華人研究、水環境史などの分野を主として研究しています。

萩原 守 教授 モンゴル社会文化論特殊講義ほか
東洋史学、特に清代から近現代におけるモンゴルと中国の歴史などの分野を主として研究しています。

谷川 真一 教授 中国社会経済論特殊講義ほか
現代中国の政治・社会運動、政治体制などの分野を主として研究しています。

 

所属学生からのメッセージ

団 陽子さん
(博士後期課程3 年)
ペンシルベニア大学文理学部卒業。神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了。日本学術
振興会特別研究員(DC2、2017 年-2019 年)、メーリーランド大学カレッジパーク校訪問
研究員(2018 年-2019 年)。
研究テーマ:「中華民国の対日賠償要求問題:米国の日本占領をめぐる米ソ対立を中心に」

 ★メッセージ

 近隣アジア諸国と日本との間でしばしば政治的な火種となる歴史問題。その問題にもかかわる第二次世界大戦の日本の戦後補償について、対日戦争の戦勝国であり最大の被害国ともいえる中華民国の視点から研究をしています。一見、中国研究と思われがちですが、日本の戦後処理には多くの連合国がかかわっており、中華民国の文献を読むだけでは全体像が見えてきません。日本占領の主体であった米国の文献やその他諸国の動向などの歴史学的な調査が欠かせません。また、補償とは戦後世界の経済や安全にもかかわる問題なので、さらに政治学的な視点も求められます。
 アジア・太平洋文化論コースではアジアを中心とした様々な分野の先生方がおり、幅広い視点から指導を受けることができます。また、当コースが所属する文化相関・地域文化系では、日本学コース、ヨーロッパ・アメリカ文化論コースとの共同の指導体制が整っており、まさに学際的指導が実施されているといえます。お力添えにより、2018年には『中国研究月報』の学術研究賞を受賞することができました。
 また、国際文化学研究科では、本学だけでの研究にとらわれず、学外で研鑽を積むことにも力を注いでいます。私は、米国の大学に訪問研究員として滞在し、現地の公文書館や図書館にて文献調査を行いました。また、現地のセミナーに参加し、学会報告を行うなど、自身の研究の幅を広げることもできました。当研究科では、学外での挑戦を支える教員・事務職員の方々のサポートが充実しているといえるでしょう。
 そして、日々の研究の下支えとなるのは、やはり院生研究室で過ごす時間。当研究科には、日本人学生の他に、多くの留学生が在籍しています。研究室では、院生たちが互いに助け合い、多様性を尊重しながら日々研究に励んでいます。
 当研究科、本コースの魅力は、このように充実した研究環境にあると思います。これから進学されるみなさんも、この環境を活かして実りある研究生活をお送りください。

 

矢野 涼子さん
(博士後期課程3 年)
大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了.
日本学術振興会特別研究員(DC2、2020 年―現在).
研究テーマ:「1899 年〜1936 年サモアにおける政治の近代化に対する現地住民の反応」

★メッセージ
 普段、ニュースや世界史の教科書にほとんど取り上げられることのない小さな島にだって、人々の生活があり、現在にまで伝えられるべき過去があるはずだ。こうした考えから、私は太平洋諸島の歴史学を学び始めました。現在、私は、太平洋諸島のサモアという地域を事例とし、「近代的」な政府の設置の過程で、現地住民(太平洋諸島民、欧米人、華僑、ハーフなど)がどんな主張や行動をしたのか、ということを研究しています。
 サモアやニュージーランドなどの公文書館や図書館で収集した史料を読み込み、分析することが、私の研究の主な作業です。史料を読む時間は孤独な時間でもありますが、史料を通じて、通常では聞くことの出来ない過去の人々の「声」を拾うことが出来る魅力的な時間でもあります。こうして明らかになったことを学会や研究会で口頭発表したり、論文にしたりしているうちに、気が付くとあっという間に1年が過ぎています。
 アジア・太平洋文化論コースには、地域研究や歴史学、文化人類学など様々な地域や分野を専門とする先生方がいらっしゃいます。また、一緒に学ぶ学生の研究テーマも多種多様です。さらに、本コースには日本人学生だけではなく多くの留学生もいます。太平洋諸島の歴史学という日本では馴染みの薄い分野の研究を進める上で、近接領域の学問分野からの助言や諸外国の研究状況などの情報を得やすい環境に魅力を感じ、私は本コースで研究することを選びました。
 博士後期課程への進学を考えておられる方の中には、金銭的な不安を抱えておられる方もいるかもしれません。日本学術振興会が募集する特別研究員に採用されれば、生活費や研究費に充てることのできるお金が支給されます。私は、今年度から特別研究員(DC2)として、金銭に不安を抱えることなく研究を進めることが出来ています。困った時には、先生方や先輩に気軽に相談することができるのも本コースの魅力です。

 

 

修了学生からのメッセージ

ハスゴワ(哈斯高娃)さん
(2016 年度博士前期課程修了) 内蒙古大学外国語学部日本語専攻と長崎外国語大学国際コミュニケーション学科日本語専攻とをダブルディグリー制度によって両方卒業。現在、神戸大学国際文化学研究科博士後期課程に在籍中。
研究テーマ:「清末期オルドス社会とキリスト教関連の教案」

★メッセージ
 私は中国・内モンゴル自治区出身のモンゴル人留学生です。義務教育でモンゴル民族史を学ぶ機会が少なかったため、モンゴルに関する研究分野に触れ合う機会を求めて大学院に進学しました。博士前期課程では博士後期課程への進学を目指して研究者養成プログラムを選択しました。修士論文では内モンゴルのオルドスという地域を事例にして、清代及び中華民国期のモンゴル社会に注目して勉強しました。前期課程の二年間、指導教員の下で専門知識を勉強しつつ、研究のモデルとなる講義を通じて幅広い専門知識を学ぶことができました。演習では学術論文・図書の講読や議論を行う訓練を受けてきました。また、コースの先生たちが全員集まって研究指導を行う「構想発表」や「中間発表」などを通じて、研究というものがいかなるものであるか分かってきて、私の研究に具体的な課題が欠けているという先生たちの指摘がよく理解できるようになりました。
 博士後期課程では、キリスト教関連の事件である教案を切り口にして清末期のオルドス社会と教案の起こり方を研究しています。清末期の清朝領ではキリスト教の信仰・布教が再び許可されましたがオルドスを含む外藩蒙古はその対象外でした。かつ外藩蒙古における土地の売買や勝手な開墾が禁止されていました。このような背景の下で、カトリック教会である聖母聖心会の宣教師たちは土地を獲得して耕作していたのです。そこで私は清朝政府の対モンゴル統治政策の変動や対キリスト教政策の変動などを考察しながら、宣教師たちが初期段階から土地の借り入れができていた原因や、日清戦争後土地購入許可証が発行された問題、義和団事件の賠償金代わりに公的に土地が教会に売り与えられた問題などを研究しています。博士後期課程では幸いにも、三島海雲記念財団、富士ゼロックス株式会社・小林基金、笹川科学研究助成などによる研究上のご支援を賜り、2020年4月からは日本学術振興会の特別研究員DC2として研究できることになったため、着実に研究を進めていきたいと頑張っています。

李 云さん
(2016 年度博士前期課程修了)
内蒙古科学技術大学卒業。現在、東大阪にある村田精工株式会社勤務。
研究テーマ:「1920–1930 年代の内モンゴルにおける開墾反対運動〜ホルチン左翼中旗、ガーダー・メイリンとヤンサンジャブの事例を中心に〜」

★メッセージ
 私は、中国の内モンゴル自治区から来日したモンゴル人です。1年間の研究生時代を含めて、神戸大学大学院国際文化学研究科博士前期課程に計3年間お世話になりました。この3年間は、私の人生の中で一番意義があり、一
番楽しく、一番多くの知識を身につけることができた時期でした。指導教員萩原教授の下で、この3年間、故郷内モンゴルのホルチン左翼中旗の土地開墾の歴史を研究することができ、また他のコースや他の専攻の先生方の授業も受けることができました。中国、内モンゴル、日本などの枠を超えて、アジア・太平洋地域から全世界にまで視野を広げ、歴史学、宗教学、文化人類学、政治学、言語学など、分野横断的な知識を身につけました。現在は、村田精工株式会社という自動化省力機器を製作しているメーカーに勤めております。現在の仕事は自分の研究と直接の関係はありませんが、仕事の関係で現在毎月、半分は中国へ出張していますので、国際文化学研究科で学んだ自分の知識などを生かして、日中の友好関係に少しでも力になれるよう、頑張りたいです。

 

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留学生や社会人入学の院生もいますか ?

本コースでは日本人と留学生の両方がいつも多数在学しており、年度によっては、社会人入学・長期履修生の院生もいます。

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