15の多様な専門コース

文化相関・地域文化系 アジア・太平洋文化論コース

最終更新日 2021年8月14日

コースの紹介

 現代のアジア・太平洋地域は、経済や国際交流等の面で激しい変動を経験しながら急速に発展しています。その意味では今まさに地球上でも最もホットな地域の一つであると言えるわけですが、それらの表面的な発展の流れを追うのみではこの地域の持つ特質は理解できません。東アジアにせよ、東南アジアや太平洋地域にせよ、各地域が古くから保持してきた複雑きわまりない多彩な伝統というものがあり、その伝統がグローバル化の波をかぶりつつ変容してきた結果が、現在の姿なのです。したがって、この地域の特質を深く理解しようと思えば、社会構造、宗教、歴史、経済状況等々の諸方面から掘り下げた専門的な研究が不可欠となります。本コースでは、それらの専門的な研究視点、研究方法を多様な教授陣が様々な専門領域の授業で伝授し、指導する体制を整えています。

 
就職実績

(前期課程) アジア・太平洋地域関連で活動している諸企業、諸団体等への就職が予想されます。最近の修了者の就職先例:八重洲出版、トランス・コスモス(株)。

(後期課程) 日本での大学・短大・高専・各種研究所、企業などへの就職の他、留学生の場合には出身国での大学や企業における専門職への就職等も期待されます。最近の修了者の就職先例: 中国・内蒙古大学専任講師。中国・北京外国語大学外国語学院専任講師。

在籍学生数

(前期課程) 7名
(後期課程) 10名

論文テーマ

・バンコクの中間層をデモに駆り立てた要因の研究―PDRC及びUDDにおける末端支持者の政治意識―
・インドネシアにおける大学生の恋愛と性をめぐる葛藤
・国際交流活動と進路選択―東南アジア青年の船を事例に―
・アイヌ文化の表象と実践―白老町における文化活動を事例として
・初期日豪関係の展開と日本イメージに関する歴史学的研究
・明代(14-17世紀)の雲南麗江ナシ族・木氏土司
・清末から中華民国初期の内モンゴルにおける近代学校教育の展開と知識人の輩出―ハラチン地域と帰化城トゥメド地域の事例を中心にして―
・清代内モンゴルにおける農地所有とその契約に関する研究―帰化城トゥメト旗を中心に―(第12回アジア太平洋研究賞受賞博士論文)

所属教員の紹介

伊藤 友美 教授 東南アジア社会文化論特殊講義ほか
東南アジア地域研究、タイ研究、仏教と女性研究などの分野を主として研究しています。

貞好 康志 教授 東南アジア国家統合論特殊講義ほか
インドネシア現代史、華僑華人研究、水環境史などの分野を主として研究しています。

萩原 守 教授 モンゴル社会文化論特殊講義ほか
東洋史学、特に清代から近現代におけるモンゴルと中国の歴史などの分野を主として研究しています。

谷川 真一 教授 中国社会経済論特殊講義ほか
現代中国の政治・社会運動、政治体制などの分野を主として研究しています。

 

所属学生からのメッセージ

団 陽子さん
(博士後期課程3 年)
ペンシルベニア大学文理学部卒業。神戸大学国際文化学研究科博士前期課程修了。日本学術
振興会特別研究員(DC2、2017 年-2019 年)、メーリーランド大学カレッジパーク校訪問
研究員(2018 年-2019 年)。
研究テーマ:「中華民国の対日賠償要求問題:米国の日本占領をめぐる米ソ対立を中心に」

 ★メッセージ

 近隣アジア諸国と日本との間でしばしば政治的な火種となる歴史問題。その問題にもかかわる第二次世界大戦の日本の戦後補償について、対日戦争の戦勝国であり最大の被害国ともいえる中華民国の視点から研究をしています。一見、中国研究と思われがちですが、日本の戦後処理には多くの連合国がかかわっており、中華民国の文献を読むだけでは全体像が見えてきません。日本占領の主体であった米国の文献やその他諸国の動向などの歴史学的な調査が欠かせません。また、補償とは戦後世界の経済や安全にもかかわる問題なので、さらに政治学的な視点も求められます。
 アジア・太平洋文化論コースではアジアを中心とした様々な分野の先生方がおり、幅広い視点から指導を受けることができます。また、当コースが所属する文化相関・地域文化系では、日本学コース、ヨーロッパ・アメリカ文化論コースとの共同の指導体制が整っており、まさに学際的指導が実施されているといえます。お力添えにより、2018年には『中国研究月報』の学術研究賞を受賞することができました。
 また、国際文化学研究科では、本学だけでの研究にとらわれず、学外で研鑽を積むことにも力を注いでいます。私は、米国の大学に訪問研究員として滞在し、現地の公文書館や図書館にて文献調査を行いました。また、現地のセミナーに参加し、学会報告を行うなど、自身の研究の幅を広げることもできました。当研究科では、学外での挑戦を支える教員・事務職員の方々のサポートが充実しているといえるでしょう。
 そして、日々の研究の下支えとなるのは、やはり院生研究室で過ごす時間。当研究科には、日本人学生の他に、多くの留学生が在籍しています。研究室では、院生たちが互いに助け合い、多様性を尊重しながら日々研究に励んでいます。
 当研究科、本コースの魅力は、このように充実した研究環境にあると思います。これから進学されるみなさんも、この環境を活かして実りある研究生活をお送りください。

 

白 那日蘇(ハク ナルス)さん
(博士後期課程3 年)
内蒙古師範大学卒業、内蒙古師範大学大学院修士課程少数民族史専攻と愛知大学大学院中国研究科修士課程文化人類学専攻を修了
研究テーマ:「蒙疆政権における軍事組織の研究」

★メッセージ
 私は、中国の内蒙古自治区科爾泌(ホルチン)左翼後旗出身のモンゴル人です。2019年4月から神戸大学の本研究科アジア・太平洋文化論コース博士後期課程に進学し、内モンゴル近現代史を研究しています。内モンゴルで小学校から大学院まで全て母語であるモンゴル語で授業を受けたことは、私の人生にとって貴重な経験でした。愛知大学では中国語で授業を受けましたので、モンゴル語、中国語、日本語で教育を受けた経験があります。
 蒙疆政権とは1936-1945年に内モンゴルの西部地域、満州国の西隣りに存在していた政権です。近代モンゴル史の風雲児ともいうべき徳王(ドムチョクドンロプ郡王)と日本人顧問たちが協力して運営していました。蒙疆政権は単なるモンゴル人の政権ではなく、日本、中国、モンゴル、ソ連という複雑な国際関係の中で成立した政権です。その軍事組織の歴史を発端から終焉まで研究すると、近代
内モンゴルの実像が現れてきます。
 現在、私は主に以下のような方法で研究に取り組んでいます。一つは、文献史料の読解です。日本側の史料として日本人軍事顧問が残した一次史料が東京の防衛省防衛研究所に大量に残されています。内モンゴルでは当事者たちの回想録が『内蒙古文史資料』として出版されています。私は愛知大学で文化人類学の研究手法を学んだ経験があり、現地調査も試みています。また、萩原先生のゼミではモンゴル史や中国史の知識のみならず、キリル文字モンゴル語や満洲語も学びました。今後はロシア語も習得したいです。「日本モンゴル学会」、「内陸アジア史学会」、「日本アルタイ学会(野尻湖クリルタイ)」等の学会でも毎年発表を聞いたり自ら口頭発表を行なったりし、関連する学術雑誌にも2本の論文を投稿しています。国際文化学研究科ではアジア諸地域を専門とする先生方が多数おられ、自分の専門以外にも他の地域や国々の歴史・文化などの勉強をする機会があります。
 私は、2021年4月から日本学術振興会特別研究員DC2に内定し、学問に専念できるようになりました。特別研究員に内定したことは一生の名誉だと感じています。

 

 

修了学生からのメッセージ

シーリン(錫莉)さん
(2011 年度博士前期課程修了)

内蒙古師範大学卒業、2010-2011 年度日本学術振興会外国人特別研究員 DC2
現在、内蒙古大学蒙古学研究センター准教授
研究テーマ:「清代外モンゴルにおける書記および書記養成に関する研究」

★メッセージ
 世界史上最大の帝国を築き上げ、史上空前レベルの東西交流に貢献したモンゴル民族の歴史は、世界各国の歴史家たちを魅了して盛んに研究されてきました。中でも、日本におけるモンゴル史研究は素晴らしい伝統を持ち、西洋の歴史家に比べても豊かな研究成果をあげることによって、各国の学者たちに強い影響を与え、世界中のモンゴル史研究をリードして来ました。私は、歴史研究者になるという志を持ち、日本で歴史研究の方法を学びたいという一心で、2005年10月に中国・内モンゴル自治区から日本に渡りました。
 その後、私は、2012年3月まで神戸大学大学院国際文化学研究科のアジア・太平洋文化論コース博士前期及び後期課程にて、萩原守教授のご指導の下で、清代モンゴル史を研究しました。
 神戸大学に留学していた7年間は、私にとって本当に実りのある期間でした。アジア・太平洋文化論コースで様々な視点から研究指導を受け萩原先生の研究指導を通じて幅広い知識を身に着けた私は、日本のモンゴル史研究の強みである漢籍資料のみならず他言語資料をも収集し、直接手に取って詳細に分析するという極めて重要かつ基本的な研究方法を習得することができました。そして私は、2012年3月に博士号を取得して中国の内蒙古大学蒙古学研究センターに就職し、研究を継続することとなりました。現在はこのセンターで、清代モンゴル史研究、満洲語、中国の文書制度史などの講義を担当しながら、大学院生の研究指導を担っております。2017年に、博士論文である《清代外モンゴルにおける書記および書記の養成に関する研究》を内モンゴルで出版し、2018年度内蒙古自治区第六届哲学社会科学優勝成果政府賞二等賞を受賞しました。
 アジア・太平洋文化論コースはアジア諸地域の政治、歴史、文化などを研究対象とした専門家の教授たちがそろうコースです。在学中、コース内で研究報告するたびに先生方からいただいた具体的なアドバイスや有益なコメントが博士論文の完成に大いに役立ちました。本コースの先生方や萩原先生に教わったことは、私の人生の中で貴重な経験となり今後の研究でも大切な指標となるでしょう。

 

アラムス(阿拉木斯)さん
(2012 年度博士後期課程修了)
内蒙古農業大学卒業、神戸大学大学院国際文化学研究科博士後期課程修了
現在、中国・内蒙古財経大学専任講師
研究テーマ:「清代内モンゴルにおける農地所有とその契約に関する研究」

★メッセージ
 私は、2004年4月から神戸大学に留学し、総合人間科学研究科と国際文化学研究科のアジア・太平洋文化論コースで博士前期課程と
後期課程を修了しました。修士及び博士論文では、「草原の遊牧民であるモンゴル人は定住していないから土地所有意識がなかった」という一般的な認識に反論して、少なくとも清代の帰化城トゥメト旗のモンゴル人には強い土地所有意識があったということを明らかにしました。
 まる9年間の留学生活中に、研究科の名称や研究室の場所など、たくさんの変化がありましたが、指導教員である萩原先生の研究に対する厳しさは全然変わりませんでした。そのお陰で、博士論文によって2013年に日本の「第12回アジア太平洋研究賞(井植記念賞)」
を受賞しました。コースの名前と同じ「アジア太平洋研究賞」を受賞できたのも、アジア・太平洋文化論コースがアジア太平洋地域の政治、歴史、文化などを研究する教授たちがそろうコースであったからだと思います。萩原先生やコースの先生方から教わったことは、一生役に立ちます。
 私は、2013年3月に神戸大学で博士後期課程を修了した後、内モンゴル工業大学で専任講師として経済法、土地法、文化人類学などの授業を教えていました。今年の3月からは、転勤して内モンゴル財経大学で専任講師として教えています。

 

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留学生や社会人入学の院生もいますか ?

本コースでは日本人と留学生の両方がいつも多数在学しており、年度によっては、社会人入学・長期履修生の院生もいます。

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