15の多様な専門コース

文化相関・地域文化系 アジア・太平洋文化論コース

最終更新日 2015年9月11日

コースの紹介

 現代のアジア・太平洋地域は、経済や国際交流等の面で激しい変動を経験しながら急速に発展しています。その意味では今まさに地球上でも最もホットな地域の一つであると言えるわけですが、それらの表面的な発展の流れを追うのみではこの地域の持つ特質は理解できません。東アジアにせよ、東南アジアや太平洋地域にせよ、各地域が古くから保持してきた複雑きわまりない多彩な伝統というものがあり、その伝統がグローバル化の波をかぶりつつ変容してきた結果が、現在の姿なのです。したがって、この地域の特質を深く理解しようと思えば、社会構造、宗教、歴史、経済状況等々の諸方面から掘り下げた専門的な研究が不可欠となります。本コースでは、それらの専門的な研究視点、研究方法を多様な教授陣が様々な専門領域の授業で伝授し、指導する体制を整えています。

就職実績

(前期課程)
アジア・太平洋地域関連で活動している諸企業、諸団体等への就職が予想されます。平成26年修了者の就職先例:八重洲出版。

(後期課程)
日本での大学・短大・高専・各種研究所、企業などへの就職の他、留学生の場合には出身国での大学や企業における専門職への就職等も期待されます。平成25年修了者の就職先例:中国・内蒙古工業大学人文学院専任講師。

在籍学生数

(前期課程) 1年5名(全員研究者養成型) 2年7名(内キャリアアップ型3名)

(後期課程) 1年3名 2年2名 3年1名

論文テーマ

・日本人夫を持つタイ人妻の研究
・インドネシアにおける大学生の恋愛と性をめぐる葛藤
・国際交流活動と進路選択―東南アジア青年の船を事例に―
・アイヌ文化の表象と実践―白老町における文化活動を事例として
・初期日豪関係の展開と日本イメージに関する歴史学的研究
・明代(14-17世紀)の雲南麗江ナシ族・木氏土司
・蒙古青年結盟党(1938–1941年)から蒙古青年革命党(1944−1945年)へー日本支配期から戦後にかけての内モンゴルにおける民族主義政党ー
・清代外モンゴルにおける書記および書記の養成に関する研究
・清代内モンゴルにおける農地所有とその契約に関する研究―帰化城トゥメト旗を中心に―(第12回アジア太平洋研究賞受賞博士論文)

所属教員の紹介

伊藤 友美 准教授 東南アジア社会文化論特殊講義ほか
東南アジア地域研究、タイ研究、仏教と女性研究などの分野を主として研究しています。

王 柯 教授 中国杜会文化論特殊講義ほか
近現代中国思想史、日中関係などの分野を主として研究しています。

窪田 幸子 教授 オセアニア社会文化論特殊講義ほか
オセアニア地域の文化人類学などの分野を主として研究しています。

貞好 康志 教授 東南アジア国家統合論特殊講義ほか
インドネシア現代史、華僑華人研究、水環境史などの分野を主として研究しています。

萩原 守 教授 モンゴル社会文化論特殊講義ほか
東洋史学、特に清代から近現代におけるモンゴルと中国の歴史などの分野を主として研究しています。

谷川 真一 准教授 中国社会経済論特殊講義ほか
現代中国の政治・社会運動、政治体制などの分野を主として研究しています。

 

所属学生からのメッセージ

片山 信英さん(博士前期課程2年・研究者養成型プログラム)

大阪外国語大学(現・大阪大学)外国語学部インドネシア語科卒業、神戸大学法学部第二課程卒業。
研究テーマは、「コミュニティ学習センターを活用したインドネシアのノンフォーマル教育の展開について」

★メッセージ

アジ太1 私は神戸市役所に勤務する社会人大学院生です。仕事を終えた後、夜間の授業に通っています。標準修業年限の2年では単位取得もままならないのではと心配していましたが、夏季等に開催される集中講義や長期履修制度を利用することによって、3年間で必要な単位を取得し、修士論文を作成するという計画を描くことが可能となりました。
  仕事との両立など時間的な制約の多い社会人にとって学習環境は重要な要素です。夜間も開講していること、集中講義があること、長期履修制度があることなど、本コースは社会人にも門戸が開かれています。長期履修制度とは、職業をもつ社会人や育児・介護等の事情を有する大学院生は、授業料の負担をほとんど増やさずに2年間の在学期間を最大4年間まで延長許可してもらえる制度です。
  入学して驚いたことは、まず、院生室に一人ひとり学習机が与えられること。そして、アジアからの外国人留学生が多いことです。様々なバックグラウンドをもった学生の皆さんと授業でのディスカッションだけでなく、公私にわたる交流を通じて、これまで気づかなかった考え方に触れるなど、日々大きな刺激を頂いています。

★私の時間割(平成26年度、主な履修科目)

アジア・太平洋文化論演習
  自らの研究計画または研究構想の枠組みについて発表し、テーマや構成、研究手法等についてディスカッションを行う中で、先行研究を批判的に読み、研究の最前線を把握すること、研究に対する問題意識を明確に持つことの重要性を学ばせて頂きました。

異文化関係論演習
  ジェイムズ・クリフォードの『文化の窮状-20世紀の民族誌、文学、芸術』及び『ルーツ-20世紀後期の旅と翻訳』の内容についてディスカッションを行いました。外国人留学生3人チームを組んで行った発表は、発表内容の検討など事前準備も含めて相互理解が深まる得がたい体験をさせて頂きました。

感性コミュニケーション論演習
  人間の顔の表情に関する海外文献の購読を中心に対人行動に関する理論と研究方法について学びました。一見、自分自身の研究テーマとは遠いと思われた授業でしたが、「勧誘場面に見られる断りの表現」について、インドネシア人と日本人との比較に関して調べたことを発表する機会を頂き、その過程で新たな気づきを得ることができました。

★写真説明

ジャカルタの小学校にて子供たちと

アローハン(阿如汗)さん(博士後期課程2年)

神戸大学大学院国際文化学研究科博士前期課程修了。
研究テーマは、「清末から中華民国初期の内モンゴルにおける近代学校教育の展開と知識人の育成」。

アジ太2★メッセージ
 私は、中国の内モンゴル自治区から来たモンゴル人留学生です。テーマをご覧になって、「なぜモンゴル人が日本でモンゴルの教育史を研究するのか」と思われるかもしれませんが、実は、百年以上前からモンゴルの近代学校教育の展開に多くの日本人がかかわっていました。1903年、大阪で開催された第五回内国勧業博覧会へ、日本政府が若手モンゴル王侯数名を招待したのがそのきっかけです。この時の日本訪問を通して、日本の近代化に衝撃を受けたグンサンノルブというモンゴルのもっとも有力な王侯が、日本から陸軍軍人や女子教員を次々と招いて、新式教育を試みました。
  またその後、1932年に日本の帝国主義的な政策によって満洲国が建設され、東部内モンゴルも翌年満洲国に併合されます。この1930年代から1945年8月の終戦に至るまで、日本人によって創設されたモンゴル人向けの教育機関も、そこで学ぶモンゴル人学生の数も増え続け、満洲国内のモンゴル人向け文教機関は政府によって法人化されていきました。こうやって満洲国の教育政策によって実に多くのモンゴル人知識人が育成されます。彼らは、大学への進学や日本への留学などの経験を経て、戦後も数十年間にわたって内モンゴル自治区の政治、教育、学術など社会全般に貢献してきました。このように、20世紀前半の内モンゴルの歴史は、中国、日本、ロシア等の諸国の存在を抜いて語ることができません。
  私の研究は、日露戦争直前の内モンゴルにおける日本人教師招聘活動開始からおよそ30年間の時期を研究対象とします。そして、内モンゴルにおいて近代的な学校教育が具体的にどのように展開し、それが内モンゴルの近代史にいかなる影響を及ぼしたのかという問題を解明することが目標です。
  アジア・太平洋文化論コースには、モンゴル史を研究する先生や、中国を研究する先生方、また東南アジアやオセアニアを研究する先生方もおられます。さらに、日本学コースにおられる先生にお世話になったり、ロシア語の授業を受けることもできたりして、私のような多文化研究を必要とする学生には最高の研究環境であると常に思っています。
  おかげさまで、私は、今年の4月から日本学術振興会特別研究員に採用されることとなり、史料調査や研究に経済上の心配なく取り組むことができるようになりました。より良い研究環境に恵まれた分、より一層の研究成果を目指して頑張ろうと考えている次第です。

★写真説明

内モンゴルでの国際学会にて

 

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留学生や社会人入学の院生もいますか ?

本コースでは日本人と留学生の両方がいつも多数在学しており、上記の通り、社会人入学・長期履修生の院生もいます。

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