ヨーロッパ・アメリカ文化論

文化相関・地域文化系 ヨーロッパ・アメリカ文化論コース

最終更新日 2022年5月31日

asia-pacific2021コースの紹介

 ヨーロッパ・アメリカ文化論コースでは、近代以降、世界の政治・経済・文化などで中心的な役割を果たしてきたヨーロッパとアメリカの社会と文化について、多様な角度から総合的に教育・研究します。これらの地域で発展した文化は世界へと広まりましたが、現在、批判的に再検討されていることは周知の通りです。それに加えて、最近では、欧米の中にありながら近代成立の過程で周縁にあった社会と文化に関する研究も進展してきています。このコースでは、以上のような成果を踏まえて、現代の我々の生活と意識に深く根付いているように見える欧米的な思考や価値観を再検討し、その21 世紀における意義を探っていきます。歴史・言語・宗教・思想・文学・芸術・社会制度など、幅広い分野にわたって具体的な考察を積み重ねることで、いまだ知られざるヨーロッパやアメリカの深奥に迫りたいと思います。

 
進路実績

(前期課程) 大和証券、日立製作所、三田市役所、関西電力、時事通信社、在外公館専門調査員、東洋電機製造、大成建設、ニトリ、浜松市役所、クボタ、神戸大学大学院博士後期課程進学、明星産商、他
(後期課程)  佛教大学専任講師、神戸大学非常勤講師、神戸松蔭女子学院大学非常勤講師、大和大学非常勤講師、同志社大学非常勤講師、大阪市立大学非常勤講師、神戸大学国際文化学研究推進センター協力研究員

在籍学生数

(前期課程) 7名
(後期課程) 3名

論文テーマ例

グリム兄弟『ドイツ伝説集』、ウィリアム・モリス研究、『ハリー・ポッター』に見るヴィクトリア文化の受容、アメリカイタリア移民、ブロンテの自然観、I Love Lucyにおける視覚的ギャグの分析、ポルトガルにおけるミランダ語の成立、戦間期アメリカ合衆国における平和主義、孤立主義、ポピュリズム、英国庭園研究、イーヴリン・ウォーの『ブライズ、ヘッド再訪』、アメリカの移民政策と中国系移民の現状、他

所属教員の紹介

井上 弘貴 教授 アメリカ多民族社会形成論特殊講義ほか
政治理論、公共政策論、アメリカ政治思想史を専門としています。とくに最近では、戦後アメ リカの保守主義の思想史をはじめとする研究を行なっています。

小澤 卓也 教授 ラテン・アメリカ文化交流論特殊講義ほか
ラテンアメリカ、とりわけ中央アメリカの近現代史が専門です。最近はグローバルな歴史的視点に立ちながら、中米社会を大きく規定している民族問題や輸出作物生産文化の研究を進めています。

西谷 拓哉 教授 アメリカ言語映像文化論特殊講義ほか
文学と映画を中心として、アメリカ合衆国の多元的な文化状況や表現の独自性などについて研究しています。専門は19世紀中葉のアメリカン・ルネサンス期の文学ですが、小説の映画化という観点から両者のナラティブとしての特徴を比較することにも関心を持っています。

衣笠 太朗 講師 ヨーロッパ社会文化論特殊講義ほか
専門はドイツ=中東欧境界地域の近現代史であり、主に現在のドイツ、ポーランド、チェコの境界に位置するシレジア(シュレージエン/シロンスク/スレスコ)における分離主義運動や住民移動について研究しています。

 

所属学生からのメッセージ

大塚 真理子さん
(博士前期課程3年・キャリアアップ型プログラム・長期履修制度利用)
法政大学文学部地理学科卒業。研究テーマ「在日経験ペルー人青年がペルー社会へもたらす影響」。

★メッセージ
 外国人児童生徒の学校での学習・生活支援に携わり十年が過ぎた頃から、関わったペルーの子ども達、先生、そして自分に私は何を残せるのかと自問していました。その手がかりを得るべく、本研究科ヨーロッパ・アメリカ文化論コースに入学し早一年が過ぎました。所属コースはじめ多方面の専門家の先生方から意見をうかがえたこと、研究内容も年齢や国籍も違う院生仲間と交流できたこと、ペルーでのインタビュー調査を通じたくさんのペルーの方々と知り合えたこと、これらは今後の私の人生の支えとなることでしょう。現在、自問への回答に向けての第一歩として、在留資格の条件の中、自国と日本を行き来するペルー人についてキーワードをたて整理し、修士レポートで取り組む内容の絞り込みをしています。時に苦しいこともある大学院での研究生活ですが、仕事から研究項目を探り、研究項目から仕事内容を見る習慣がつきつつある日々を実感しています

 

姚 程琳さん
(博士課程前期2 年)
研究テーマ:「アメリカにおける伝統的家庭の価値観と同性婚問題の関係」

★メッセージ
 政治、経済、思想などの分野で多角的に世界をリードしてきたアメリカの文化や歴史に興味があり、日本の大学院で高度な研究をしたいと思い、国際文化学研究科のヨーロッパ・アメリカ文化論コースに入学しました。
 このコースには、宗教、政治、思想などの多様な講義や演習のもと、指導を受ける体制が整っています。様々な専門分野を持つ先生方から親切に指導を受けることができ、多方面から知識や情報を得て、アメリカ全般の理解を深めることができます。また、日々の講義や演習以外でも、豊富な研究資料の読解をつうじて思考能力を磨きながら研究の専門性を高めていくことができます。
 近年、ジェンダーの問題が注目されつつ、同性愛差別と同性婚はどこの国の社会においても頻繁に取り上げられる問題になっています。同性婚に対する考え方とアメリカ人が持つ家族の価値観とは密接な関係を持っています。歴史の条件や経済状況の変動により、家族の機能と意味が変化し、家庭生活に関わる結婚や親の位置づけの見直しが迫られています。こうしたアメリカの家族の変容とその原因を探求しつつ、21 世紀のアメリカの家族のあり方や性別の役割分担を再検討することを通じて、同性婚について研究を行っています。
 院生研究室では他のコースの学生との多国籍の交流ができるのも大変魅力を感じています。充実した毎日を楽しみながら、専門の研究と多彩な学生生活を通じて新しい世界と出会え、自分の視野を広げることができています。

 

 

修了学生からのメッセージ

梶ヶ山 薫さん(2019 年度博士前期課程修了)

研究テーマ:「映画『赤い薔薇ソースの伝説』(Como agua para chocolate)にみる母性表象」
現在,在ジャマイカ大使館専門調査員。

★メッセージ
 私は学部時代にラテンアメリカ地域とその映像の世界に魅了され、メキシコやキューバ映画の研究をしたいと考えていました。まだまだ日本では研究があまり進んでいない分野である一方で、私の研究を理解し、サポートをいただけたのが神戸大学国際文化学研究科でした。特にヨーロッパ・アメリカ文化論コースは、様々な国や地域が一つのコースにまとまり、一つの国では完結しえない事柄を国境や地域を越え、多角的に研究ができることが最大の魅力であると思います。私にとっても映画からラテンアメリカ地域を研究するにあたり、米国やヨーロッパ地域との関係を理解することは必要不可欠な事でした。それらを当たり前に学び、様々な方々にサポートしていただける環境に身をおけたこ
とは有意義なことだったと思います。また、在学中には研究のブラッシュアップのために在キューバの映画研究所での調査や、メキシコ国費留学プログラムの一つ「日墨戦略的パートナーシップ研修計画」に参加し、約一年間のメキシコ留学を実現することができました。
 私は現在、在ジャマイカ大使館の専門調査員として、日本とジャマイカ、ベリーズ、バハマとのより一層持続可能な関係性を構築すべく、文化交流事業の開催や現地調査を行っています。このヨーロッパ・アメリカ文化論コースで学び、ご指導いただいた多くの事が糧になっていることを日々実感しています。これから、入学を考えている皆さんにはぜひ、自分の興味から積極的に世界へ視野を広げていってほしいと思います。

 

喜多 玲子さん(2018 年度博士前期課程修了)

研究テーマ:「日露の皇室外交とメディア~ロシアメディアにおける日本への眼」
現在,明星産商株式会社勤務。

★メッセージ
 学部生の時、「皇太子ニコライが日本を訪れた際の日本観」について研究をしていました。研究を進めて行く中で、皇室外交が日露の友好関係に果たす役割について関心が広がり本研究科に入学しました。ロシアの新聞・雑誌を分析し、ロシアメディアが日露の皇室外交をどのようにとらえたのか、そして日本や日本皇室への眼差しの変化を研究しました。
 本研究科は歴史・宗教・思想など様々な分野を幅広く学ぶことができます。私は自分の研究テーマには直接は関係なくても興味がある講義には積極的に参加していました。ほとんどの講義が少人数で、様々なテーマについて発表を行い、その内容について先生や学生と議論する形式です。参加する学生は自分とは関心や研究テーマも異なるため、考えもしなかった視点から質問をされることや幅広い分野のテーマの発表を聞くことがあります。
 その経験のなかで多くの刺激を受け、新たな視点から自分の研究を考察するきっかけになりました。ヨーロッパ・アメリカ文化論コースで学んだ2年間は自分の成長を感じられる充実した時間でした。

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社会人ですが、仕事をしながらの入学は可能でしょうか?

規定年限で修了を目指す場合、博士前期課程では少なくとも1 年次においては週に1~2回以上の登校が必要ですが、「長期履修制度」を利用すれば最長4年まで修了年限を伸ばせますので、登校日と学期毎の履修単位をかなり少なくすることができます。また、博士後期課程の場合は、指導教員との相談により柔軟な受講が可能な場合もあります。

外国語の知識はどの程度必要ですか?

英語の文献が読める程度の知識は必要です。どこかの地域に関することを専門的に研究する場合は、当該地域の言語(フランス語、ドイツ語、ロシア語、等々)の知識を持っている必要があります。前期(修士)課程の「キャリアアップ型プログラム」では、それほど高度な外国語力がなくても大丈夫でしょう。

専門の先生がいない地域や領域のことを研究テーマにすることはできますか?

教員は数が多く、また幅広い地域や領域をフォローしていますので、かなり柔軟に対応することができます。受験を考えている場合は、いずれかの教員と連絡を取って、具体的なテーマについて相談してください。

神戸大学大学院国際文化学研究科/国際文化学部
〒657-8501 兵庫県神戸市灘区鶴甲1-2-1
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