外国語教育システム論

最終更新日: 2026年06月30日

グローバル文化専攻・外国語教育系 外国語教育システム論コース


 外国語教育システム論では、英語を中心とする外国語教育の基礎を担う言語学、心理学、言語表象作品分析など様々な領域の学際的知見を援用して研究を行い、それらを有機的・総合的に連関させることで、外国語教育のシステムの研究・実践にあたることができる人材の養成を行う。
本教育研究分野では、特に、
1. 言語学、心理学など関連諸分野の知見に基づく学際的な言語教育研究
2. 幅広い言語文化・表象作品の言語教授法への応用と方法論研究
3. IT 教育など言語教育環境整備に関わる実践的研究
4. 言語習得、言語使用を取り巻く社会的・文化的要因に関わる研究
5. 心理言語学的研究により得られた知見の教育現場への応用
6. 教育現場における指導実習等の活動支援
を重視して研究指導を行っている。

 

進路実績

(前期課程) 香川県立高等学校、千葉県私立高等学校、大阪府立高等学校、神奈川県立高等学校、兵庫県立高等学校、他

(後期課程) 兵庫教育大学、神戸学院大学、京都産業大学、静岡大学、神戸市工業高等専門学校、立命館大学、桃山学院大学、日本大学ほか

在籍学生数

(前期課程) 2
(後期課程) 4

論文テーマ例

(前期課程)
Argumentative essays written by high school students: Therelationship between holistic scores, linguistic complexity, andmeaning complexity
How reading aloud and shadowing affect the acquisition of L2grammar knowledge by Japanese EFL learners
The effects of story retelling on vocabulary acquisition by JapaneseEFL learners
第二言語学習者による学術的文章の推敲プロセス:生成 AI との対話と書き手のエンゲージメントに着目して
日本から台湾に入った土木建築専門用語の言語学
韓国語を母語とする日本語学習の韻律的特徴とその習得 ―釜山方言話者の日本語学習者を中心に―
国際交流プログラムにおける日本人高校生の発話の変容に関する研究


(後期課程)
Exploring the repertoire and choices of scaffolding strategies bypre-service teachers in elementary school English education
L1 and L2 lexical network of Chinese EFL learners: Focusing on theeffects of semantic category relationship and L2 vocabulary knowledge
Processing mechanisms in the comprehension of ambiguous sentencesby Japanese learners of English: Does implicit learning occur throughrepeated exposure?
中国語方言における音韻と形態統語のインターフェイス —広東語と潮州語の事例より—

所属教員の紹介

髙橋 康徳 准教授 言語対照基礎論特殊講義ほか
中国語学、音声学、音韻論。中国語諸方言の声調に関する現象を音声学・音韻論の観点から研究しています。

濱田 真由 講師 言語教育環境論特殊講義ほか
心理言語学、外国語教育。第二言語・外国語での言語処理時のプロセスについて検証し、得られた知見を外国語教育にどのように応用することができるのかについて検討しています。

廣田 大地 准教授 言語文化環境論特殊講義I ほか
フランス文学。ボードレールを中心とした近代フランス詩を研究対象とし、その詩学を言語学的観点から記述することを目標としています。他にもWEB やコンピュータを用いた文学研究・語学教育に関心があります。

保田 幸子 教授 言語科学論特殊講義ほか
第二言語習得論、第二言語ライティング、ジャンル分析、カリキュラム開発。「第二言語で書く」という行為をめぐり、書き手の方略やジャンル意識,言語的・文体的特徴に焦点を当てた研究を行っています。これらが長期的にどのように変化するか、なぜ変化するかという発達プロセスを明らかにすることが研究テーマです。

安田 麗 講師 言語文化環境論特殊講義Ⅱほか
音声学、ドイツ語教育。外国語の音声習得、発音指導に関して、音声学的観点よりドイツ語、日本語を含む様々な言語を対照しながら研究しています。

横川 博一 教授 言語教育科学論特殊講義ほか
英語教育学・心理言語学。第一言語および第二言語のリーディング、リスニング、ライティング、スピーキングおよび語彙の認知処理メカニズムとその授業実践への応用可能性を探ることが主な研究テーマです。

 

所属学生からのメッセージ

柯 怡廷さん(博士後期課程 1 年)
東吳大学商学部会計学科卒業
研究テーマ:「台湾における日本語借用語―土木建築専門用語を中心に―」

 台湾は近代から終戦時まで日本による統治を受けた影響で日本文化や日本語の語彙を多く受け入れており、21世紀に入った今日でも日常生活の中で使用されている語彙が少なくありません。私は中学生の頃からその時代の歴史や言語に関心を持ち、大学院で専門的に研究したいと考えるようになりました。当時の記録や知識の多くは日本語で残されており、これらの情報にアクセスするため日本への留学を決意し、台湾の学部時代の先輩に勧めていただいたご縁もあって神戸大学大学院国際文化学研究科に入学しました。
 台湾における日本語借用語の研究では、これまで主に戦前の生活語彙が考察対象とされてきました。しかし、さまざまな職場で使われる専門用語の中にも日本語由来の語彙が存在しているにもかかわらず、これまでほとんど注目されていませんでした。そこで私は、日本と台湾の経済・技術的な交流が密接な土木・建築業界に着目し、これまでの言語研究で取り上げられてこなかった「専門分野の借用語彙」に関する調査を行っています。
 国際文化学研究科の外国語教育システム論には、英語教育だけでなく、中国語やドイツ語など幅広い分野を専門とする先生方がいらっしゃいます。そのため、多角的な視点から指導を受けることができます。先生方はいつも丁寧かつ熱心に相談に乗ってくださり、年に三回の集団指導では研究の進捗を発表し、指導教員をはじめとするコースの先生方からアドバイスをいただきながら研究を多面的に検討する機会が豊富にあります。
 また、研究科全体でも多くの留学生や様々なバックグラウンドを持つ院生と切磋琢磨し、お互いに意見を交わしながら学べる環境にあります。そのような恵まれた学習環境のもと、毎日充実した院生生活を送ることができています。国際文化学研究科の魅力は数えきれないほどあり、ここでの学びを通して専門性を深めていきたいと思っています。

 

谷岡 亮さん(博士後期課程 2 年)
アストン大学大学院言語社会科学部修士課程修了
研究テーマ:「Cohesion in L2 Writing: The Relationship between CohesionMarkers and Overall Writing Quality」

 私は日本の大学で4年間、英米語学科で学びを深めた後、そのままイギリスの大学院に進学し、英語教授法(TESOL)の修士号を取得しました。帰国後は企業勤務を経て、大学の非常勤講師や任期付き教員として教育・研究に携わりながら、研究活動を継続してきました。しかしその過程で、大きな学会で思うように発表できなかったり、投稿した論文が査読を通過しなかったりと、自身の研究者としての力不足を痛感する場面も少なくありませんでした。そうした経験から、研究をより体系的に学び直し、質の高い成果を発信できる力を身につけたいと考え、後期課程での学びを決意しました。
 大学院では、知識と経験が豊富な指導教授から論文作成について直接かつ丁寧な指導を受けることができ、自分では気づくことのできなかった課題や改善点を具体的に示していただいています。その都度、論文の問題点を見直し修正を重ねることで、研究の質を着実に高めることができており、大変貴重な学びの機会となっています。また、後期課程では集団指導の機会も設けられており、担当教授以外の先生方からも多角的な助言をいただけます。実際の学会発表に近い緊張感のある環境で議論を行うことで、新たな視点を得られるだけでなく、研究内容を的確に伝えるプレゼンテーション力も養われています。
 研究テーマとしては、修士課程在籍時から関心を持ち続けている英語ライティング指導を基盤とし、現在はライティングにおける結束性(cohesion)について研究しています。特に、学習者作文に見られる結束性の特徴を分析し、指導法への応用可能性を探ることを目指しています。
 進学にあたっては勤務先からも大学院設置基準第14条の条件を満たしていることが求められていたため、本大学院の制度は重要な前提条件でもありました。その点においても、社会人として研究をさらに深めたい方にとって、学びやすい環境が整っている大学院であると思います。

 


 

九鬼 雅史さん(2023 年度博士前期課程修了)
研究テーマ:「高校生英語学習者によるアーギュメンタティブエッセイ―全体的評価と言語的・意味的複雑性の関係―」
現在、 香川県立高等学校英語科教諭

 私は大学4年次の教育実習の経験から外国語教育システム論コースでの研究に興味を持つようになりました。授業を通して理想と現実のギャップに直面することが何度かあり、中でもライティング指導について悩む時間が多くありました。実習を終えても「これからのライティング指導はどうあるべきなのか」という問いが心に残り続けました。そこで自分なりにライティング教育や英語でのライティング活動について調べてみると、第二言語ライティングという研究分野があることを知りました。大学院ではこの分野をご専門とされる先生の下で専門知識を深めたいと考え、本コースへの進学を決意しました。
 本コースでは心理言語学や第二言語習得理論など、外国語教育に関する学問分野を幅広く学ぶことが可能です。例え学部時代に学んでいない研究分野であっても、先生方に手厚くサポートしていただける環境が整っています。また、本コースには集団指導という研究の進捗を発表する機会が定期的に設けられており、自分の研究の課題や今後の構想について深く考えることができます。先生方だけでなく、同じコースの院生からも貴重なアドバイスをいただき、研究に関する新たな発見や様々な示唆を得ることができます。
 私自身、他大学からの進学で最初は不安を感じていましたが、指導教員の先生を始め、外国語教育領域に所属されている先生方からのきめ細やかな指導を受け、充実した院生生活を送ることができました。他大学から本コースへの進学に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、安心して進学されることをお勧めします。

 

寺嶋 宏樹さん(2025 年度博士後期課程修了)
研究テーマ:「自己決定理論に基づく英語学習における学習意欲の向上」
現在、 桃山学院大学国際教養学部講師

 私が外国語教育システム論コースに惹かれたのは、教育現場での実践を通して、「学習者の学習意欲はどのように育まれるのか」「なぜ人によって学習の伸び方に違いが生じるのか」といった問いを持つようになったことがきっかけです。経験を重ねる中で、これらの問いについて感覚的には理解できる一方で、それを十分に言語化することの難しさを感じるようになりました。そこで、これまでの実践を理論的な視点から捉え直し、自身の問いをより深く探究したいと考え、本コースへの進学を志しました。
 本コースの魅力は、外国語教育を単に「どのように教えるか」という方法論として学ぶだけでなく、「なぜ人は外国語を学ぶのか」「これからの外国語教育はどのようにあるべきか」といった、より根本的な問いについて考えられる点にあります。言語学や心理学を基盤としつつ、言語文化や表象作品の分析など幅広い分野に触れることで、外国語教育を多角的に捉える視点を身につけることができました。
 また、指導教員による丁寧な助言や問いかけを通して、自身の考えを深める機会が多く、これまで曖昧だった問題意識を少しずつ言語化できるようになったと感じています。さらに、同じ問題意識をもつ仲間との議論や意見交換を通して、自分一人では気づくことのできなかった新たな視点に出会うことができました。
 本コースでは、理論と実践を往還しながら学び合う環境の中で、学修内容を現実の教育課題と結びつけ、活用していく力が養われたと感じています。教育や言語に関心があり、自身の経験や問題意識を出発点として学びを深めたいと考えている方にとって、本コースは、これまでの問いを見つめ直し、次の一歩へと進むための貴重な機会となるでしょう。

 

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外国語教育システム論コースとは、どのようなことを研究するコースでしょうか?

外国語教育システム論とは、外国語教育の基盤となる基礎研究の知見について理解を深め, 学際的な立場から新しい時代の外国語教育のあり方を探求しようとするコースです。

外国語教育システム論コースでは、どのようなことが学べるのでしょうか?

このコースでは、外国語教育のシステムを支える、言語学・心理言語学、外国文学、文化学について広く学びながら、外国語教育の研究を行ったり、実践力を身につけることができます。また、英語のみならず、ドイツ語、フランス語、日本語などの言語を専攻する院生にも対応しています。

中学校・高等学校の英語教員志望ではないのですが、このコースには不向きでしょうか?

このコースは、英語の教員養成のみを目的としたものではありません。たとえば、外国語教育への応用を考えながら、心理言語学や音声学の研究を行ったり、外国語習得を意識しながら, アメリカ文学、フランス文学を専門とするなど、幅広くかつ深く学ぶことができます。

入学後は、コースが開講する授業しか履修できないのでしょうか?

外国語教育システム論コースに所属していても、他コースの授業を履修することが可能です。外国語教育システム論コースに開設されている授業科目を中心に、たとえば、外国語教育コンテンツ論コースが開講する授業科目を履修することができます。

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