15の多様な専門コース

 

文化相関・地域文化系 日本学コース

最終更新日 2017年8月22日

コースの紹介

 日本学コースでは、世界の多様な文化の中で日本文化を相対化しつつ、日本という地域における人間の営みを、文化の面から明らかにします。文学・芸術・宗教・思想などの文化や杜会に関する古代から現代にいたるきわめて広範囲の諸問題に取り組み、共に研究し学んでいこうと考えています。
  日本の文化や社会を深く理解するためには、古文書解読や資料調査を求められることも多いのですが、そのための専門的な能力を高める機会も提供しています。
  また、留学生には、通俗的な日本論に惑わされることなく学問的手続きを踏んで日本の文化や社会について論じられるようになるための専門的訓練も行います。 高度の専門的技量と学問的能力をもって日本を論じられる人材を育てることを目指しています。

 
進路実績

(前期課程)  関西学院大学職員、船井電機、アップオン、NEXCO中日本、コウキ商事、兵庫県立高校教諭、初芝学園中学・高校教諭ほか。

(後期課程) 学芸員(芸北民俗芸能保存伝承館、高知県立歴史民俗資料館、茶道資料館、平和祈念展示資料館)、兵庫県庁職員、高校教諭(群馬県立高校、私立灘中学・高校教員)、神戸大学百年史資料室、上海外国語大学日本文化経済学院准教授、関西学院大学言語教育センター朝鮮語講師、大学非常勤講師(立命館大学、京都精華大学ほか)、JETプログラム国際交流員(CIR)、など。

在籍学生数

(前期課程) 4名
(後期課程) 5名

論文テーマ例

(前期課程)
「職員会議の変化と1980年代」「神戸市の男女共同参画事業と少子化」「三島流兵法書にみる村上水軍の「軍楽」」「但馬城崎『温泉時縁起』の研究」「18世紀初頭の華道の思想」「『今昔物語集』の楊貴妃説話の典拠をめぐって」「対外宣伝雑誌における日本芸能のイメージ」ほか。

(後期課程)
 「『日本霊異記』の冥界説話から見る冥界観の変貌」「囃子田の演技の実践に関する民俗誌的研究」「ドキュメンタリー映画における音」「米軍占領下沖縄における文化政策とラジオ」「移動する領主をめぐる説話の諸相」「近代藩儒の研究」ほか。
廣田吉崇さんの博論に基づく著書『近現代における茶の湯家元の研究』(慧文社、2013)は「林屋辰三郎芸能奨励賞」を受賞しました。

所属教員の紹介

板倉 史明 准教授 日本文化表象論特殊講義ほか
日本映画・映画学。映画学の方法論をベースにして、国際的かつ歴史的な視座から日本映画を研究しています。

長 志珠絵 教授 日本社会変容論特殊講義ほか
近現代日本の文化史、ジェンダー史。最近のテーマは戦争の記憶論、米軍占領下日本の文化研究。

辛島 理人 准教授 日本社会経済論特殊講義ほか
政治経済史・国際文化論。戦時戦後の日本アジア関係やアメリカ民間財団の日本での活動を、ポリティカルエコノミーや文化交流に注目して研究しています。

昆野 伸幸 准教授 日本言語文化論特殊講義ほか
日本思想史。1920 年代から40 年代にかけてのナショナリズムについて、歴史意識や宗教といった視点から研究しています。

シュラトフ ・ヤロスラブ 准教授 ロシア・東アジア社会文化論ほか
歴史・政治学。近現代における日露関係。日本とロシアの対外政策、中央と地方のアクターと政策決定過程に重点を置きつつ、19世紀後半~20世紀前半における東アジアの国際関係史を研究しています。

寺内 直子 教授 日本芸能文化論特殊講義ほか
日本伝統音楽・芸能論。日本列島の文化を、身体を用いて表現する音や芸能などに注目し、アジア、世界の様々な文化との関連の中で動的にとらえます。

 

所属学生からのメッセージ

大城由希江さん
(博士後期課程 3 年生)
琉球大学大学院教育学研究科修士課程修了
研究テーマは「米軍統治下沖縄のラジオ・メディアと地域 / 住民」

★メッセージ
 私は博士課程において、米軍統治下沖縄のラジオ・メディアについて研究しています。第二次世界大戦を経て沖縄を統治した米軍は、長期的領有のための体制を整えていきますが、その一つにメディアの管理による情報の規制と統制がありました。実際、米軍によって設置されたラジオ放送局では、米軍の政策を宣伝することで占領統治への住民の支持を高めることを目的とした番組が流されました。政治的思惑のもとで設置されたラジオ放送は、一方で、戦後の壊滅的な生活環境に置かれた住民にとっては数少ない娯楽物として受け止められ、かつ音楽や演劇などの文化復興とも密接な関係にありました。このように戦後沖縄のなかで政治的・文化的に大きな位置を占めたラジオ・メディアへの注目から、これまでの政治史や運動史研究として積み重ねられてきた沖縄研究に、メディア研究の視点から言及したいと考えています。
 大学院での講義は少人数の演習形式のものがほとんどで、自らの研究テーマについて報告する機会が多いことが特長です。日々の講義や定期的に行われるコース指導を通して、プレゼンテーションや質疑応答に関する能力の向上も含め、専門性を高めることが可能です。さまざまな専門領域を持つ教授陣から多面的に学ぶことができるのが、本コースの特色だと思います。また、とかく孤独になりがちな研究生活ですが、日本学はコースの集団指導など、院生へのサポート体制が整えられていることも魅力の一つです。

 

 

修了学生からのメッセージ

浅井 雅さん
(2015 年度博士後期課程修了)
研究テーマは「近世藩儒の研究」。

★メッセージ
 私は現在、近世日本(特に18世紀)の儒者について研究しています。近世日本社会は武力によって成立し、中国や朝鮮のような科挙も存在しなかったため、その成立当初の武家社会において、学問は文弱として退けられていました。このような状況の中で、儒学は支配層である武士よりはむしろ上層庶民によって自発的に学ばれていました。ところが、18世紀になると、武家社会において儒学およびその担い手である儒者に一定の役割が与えられるようになり、上層庶民の好学者が藩儒として取り立てられるような例も増えてきます。このようにして取り立てられた藩儒たちは、上層庶民の世界とも一定の関わりを保ちながら、武家社会の中でも学問・教育などを職掌とする特殊技能者として独自な役割を果たしました。したがって、彼らは、近世武家社会における知の社会的あり方、文化の構造を具体的に明らかにする上での重要な手がかりとなります。
  ところで、私は博士前期課程に入学する前には社会人で、しかも大学時代には他の分野を専攻していました。そうした理由から、入学以前は、「私でも、研究を進めていくことができるだろうか」と不安をかかえていました。
  日本学コースには、私の研究分野である思想史の先生のほかにも、様々な専門分野の先生方がいらっしゃいます。その先生方から、博士前期課程・後期課程とご指導いただくにつれ、自然と日本の文化・社会に理解を深めることができました。また、そこで学ぶ学生の研究対象が様々であることに加え、他コースの学生との活発な意見交換を行うこともでき、ますます広い視野で研究に取り組むことができています。 

 

廣田 吉崇さん(2011年度博士課程後期課程修了)
現在、兵庫県職員。
研究テーマは「近現代における茶の湯家元の研究」
(博士論文公刊著書で第8回林屋辰三郎藝能史研究奨励賞(藝能史研究会主催)を受賞)

★メッセージ
 私は、50歳前後の5年間、地方公務員としての仕事をしながら社会人院生を経験しました。研究テーマは本来業務と直接関係ありませんが、そもそも大学院入学を思い立ったのは、国際交流を担当していたとき、日本文化を外国人にいかに説明するのかという問題に直面したためです。このことを勉強するために、国際文化学研究科はまことにふさわしい場といえます。家元や茶の湯を研究する確立した方法論があるわけではありません。どのように研究を進めるべきかを模索しながら、日本学のみならず、幅広く他の学問領域の先生方にも親身にご指導をいただくことができました。
  在職しながら通学することは、職場の理解および大学院の先生方のご配慮があってのことですが、年次有給休暇等の利用により十分可能でした。ただし、時間を要するのは通学だけではありません。発表や論文作成のために日々の細切れの時間をも活用しました。
  博士号を授与されても、職場でのキャリアアップに必ずしも結びつかないのは、残念ながら現実です。それはともかく、壮にして学べば、老いて衰えず、老いて学べば、死して朽ちずは理想であるとしても、また楽しからずやであることはまちがいないことです。

 

 

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文学研究科の教育・研究内容との違いは何ですか?

国際的な関係ということを意識しながら教育・研究を行っています。また、文学研究科では扱われることの少ない研究分野や研究テーマを積極的に取り上げています。

仕事を持ちながら教育課程を修了することができますか。

これまで在職中の院生に対しては、5、6時限目を開講するなどの対策を取ってきました。事前にコース教員と相談されることをお勧めします。なお、博士前期課程の学生の場合、長期履修制度を申請すれば、2年分の学費で最長4年まで修了年限を延ばせる場合があります。

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